Twitterで繋がっている方からコーヒー農園に誘われ、予定になかった沖縄を訪問。
ガイド付きの、贅沢なコーヒー農園訪問をさせていただきました。
この記事では、
- 沖縄のコーヒー農園のレビューやおすすめ農園
- 沖縄のコーヒー豆や生豆はどうやったら買えるのか?
- 沖縄コーヒー豆の特徴
- 沖縄コーヒーの歴史について
包括的に語ってみます。
長い記事になりますので、必要なところをお読みください。
沖縄コーヒー農園、沖縄産コーヒー豆の今
沖縄コーヒー協会によると、2022年時点でのコーヒー生産者は40件以上。
参入は増えており、数年前にネスレが参入して話題になりました。
そして、昨年には初収穫を迎えたようです。
収穫量も増えてきており、コーヒーで農家認定が降りた例も2件出たそうです。
その内の1件の農園には訪問することができました。
また、品質も向上しており、スペシャルティ認定されたコーヒーも、2例出たようです。
組合などもできており、みなさん研究熱心。
アナエロビックなども、盛んにトライされているとのことでした。
しかし、2022年での取引量は4トンだそうです。
・・・まだまだ、とても少ないです。
収穫されても自家用で消費されたり、
研究用として消費されたり、
観光農園の園内の販売用で使われたり、
沖縄のコーヒーショップで販売されたり、
することで、ほとんどが消費されてしまいます。
とても、県外のロースターまで回せる量ではありません。
そもそも、沖縄コーヒー協会は6次産業化を目指しています。
これは、栽培〜精製〜焙煎〜販売まで一気通貫で、自分たちで行うことを目標とするものです。
数年後には、沖縄県外のロースターでも仕入れることができるようになる可能性は、あると思います。
沖縄コーヒーの収穫はいつ?収穫体験はできる?
沖縄のコーヒーの収穫は、11月からはじまり、大体4月のおわりくらいまで続くようです。
ただしもちろん、日光の当たり具合や天候などに左右されます。
多くの農園は観光農園をやっておりますので、日光の当たり具合などによって収穫時期がバラけた方が、都合が良いとのことでした。
ですので、沖縄コーヒーの収穫期間はやや長めとなっています。
収穫体験ができる農園で、有名どころは3つ。
料金は、5,000〜8,000円ほど。
収穫〜精製〜焙煎〜抽出まで、トータルな体験が可能です。
ちょっと農園を除いたり、カフェやお土産利用だけなら、無料です。
体験農園として、一番有名であるのは又吉コーヒー農園だと思います。
大手ホテルとも連携しています。
キャンプ場やバギーなど、他のアクティビティも充実。
カフェやお土産販売もあり、総合力があります。
お土産はコーヒーちんすこうがおすすめです。
中山コーヒー農園は、こぢんまりとしてますが、その分落ち着いた雰囲気のなかでコーヒーを楽しめます。
綺麗でおしゃれなカフェがあり、コーヒーもケーキもとても美味しい。
お土産類もおしゃれで、コーヒーチェリーのお茶、コーヒーリーフのお茶などおすすめです。
スタッフさんのホスピタリティも素晴らしかったです。
安里さんのコーヒー体験農園は、ガチ勢向け。
研究熱心な農園主で、試験農場のような雰囲気。
カフェなどはありませんが、料金5,000円で100gの豆を持って帰れますので、めちゃくちゃお得です。
しかも、安里さんに質問し放題。
コーヒー栽培について学びたいならば、こちらの農園一択です。
沖縄でおすすめのコーヒー体験・見学できる農園
沖縄でいくつかのコーヒー農園を実際に回ってみました。
そのうえで私なりのおすすめですが・・・
- コーヒーガチ勢の方は、安里さんのコーヒー体験農園
- 観光目的の方は、中山コーヒー農園
が、それぞれおすすめです。
しかし、できるなら、両方いくことをおすすめします。
2つの農園は、そんなに距離が離れていませんので。
★安里コーヒー体験農園
お土産販売やカフェ営業などはないが、農園体験希望者は予約制で受け付けています。
焙煎〜試飲までトータルに体験することが可能。
安里さんという、コーヒーの品質向上に情熱を注ぐ方の農園であり、その栽培の話を聞くことができます。
コーヒーの特徴
できたてのアナエロビックコーヒーを、特別に試飲させてもらいました。
で、その美味しさには、とてもびっくりしました。
中米の華やかなフルーティさと、エチオピアの野生味あるフルーティさの、その中間という感じがします。
とても上質な風味で、だれが飲んでも美味しいコーヒーかと思います。
沖縄=ブラジルっぽい没個性な風味、というイメージが覆りました。
このような風味を出すためのやり方は確立されたようです。
今後の活躍が楽しみな農園でした。
その他農園について
安里さんは本当に研究熱心。
そして、そのノウハウを惜しげもなく教えてくれます。
そのため、多くのコーヒー栽培者などの人たちも集まる農園のようです。
さながら、コーヒーの試験栽培場のような雰囲気でした。
私もあこがれてしまいますね。
驚くべきは、道具から建物まで全てが手作り。
コーヒー栽培や精製に使う道具も手作りのものが多く、オリジナルの手回し焙煎機までありました。
この創造力は、尋常ではなかったです。
安里さんは自然環境にも配慮し、また台風への対策もされ、持続可能かつ高品質なコーヒー栽培方法を確立されています。
しかし、なかには表面的なノウハウだけ拝借するだけの人もいるとか。
私もその為に何かできることを探そうと思います。
農園にはボスという名前の犬が飼われており、とても賢くて農園を案内してくれましたw
園内のコーヒー畑は自由に見学できます。
樹木で囲われて区分けされたコーヒー畑ですが、まだまだ増えているとのことでした。
農園データ
安里コーヒー体験農園
営業時間:不明
不定休
»農園公式HP(ご予約はこちらから)
★中山コーヒー園
本部町リゾートエリアからほど近いロケーション。
山の中、細い道を少し入ったところに農園があります。
観光農園だけあって、アクティビティが充実。
収穫体験や焙煎体験、キャンプなど、いろいろとありました。
カフェが併設されており、美味しいコーヒーやケーキを楽しむことができます。
また、お土産が充実していて、それがとても良かったです。
コーヒーの特徴
こちらの農園産コーヒーは、1杯2,000円。
香りを楽しんで欲しいという理由から、ホットでもワイングラスでの提供になります。
飲んでみましたが、とても美味しい。
少しフルーティさもあり、ブラジルの一部のトップスペシャルティのような風味。
こちらの農園でも、品質の良さには驚かされました。
こちらの農園産コーヒーのドリップバッグもあります。
1個確か600円。
豆の値段を考えると、良心的な値段設定。
コーヒーリーフやコーヒーチェリーのティーバッグも売られており、こちらは1個150円とリーズナブル。
お土産として、とても良いのではないでしょうか?
農園について
カフェはテラス席もあって、コーヒー園を見下ろしながらお茶することができます。
ちなみに、カフェ近くのコーヒーの木ならば、無料で見ることができました。
そして、安里さんのコーヒー農園は犬のボスでしたが、こちらは猫のゴロちゃん。
名前の通りゴロゴロしている猫で、それが仕事だとのことでした。
観光農園は4つまわりましたが、こちらが一番キレイだし、お土産も魅力的でした。
農園データ
中山コーヒー園
営業時間:不明
不定休
»農園公式HP
又吉コーヒー園(沖縄県国頭郡東村)
観光名所になっているコーヒー農園。
多分、コーヒーの観光農園としては、一番有名な農園です。
宿泊施設やキャンプ場なども併設されており、泊まることもできます。
バギーなどアクティビティも。
コーヒーの茶葉のパックとか、コーヒーちんすこうなとも売られており、沖縄でコーヒー関連のお土産を買うとしたら、こちらも有力な候補となります。
農園の特徴
こちらの農園で採れたコーヒーを飲むならば、1杯2,000円でした。
豆は売り切れるようで、収穫時期を過ぎたら早めに問い合わせると良いかと思う。
カフェでは軽食もあって、ホットサンドや自家製カレーなどもある。
テラス席などもあって席数が多く、多くの観光客が訪れている。
コーヒーの特徴
私がいったときはちょうど収穫の時期で、前年に収穫されたコーヒー豆は売っておりませんでした。
在庫がある場合、20gで2,500円だそうです。
海外のスペシャルティは売られており、グアテマラやエチオピアなど、主要な7カ国くらいのラインナップでした。
100gあたり900円です。
農園データ
又吉コーヒー園
営業時間:13時〜18時
定休日:火曜・水曜
»お店公式HP
Hiro Coffee Farm(沖縄県国頭郡東村)
沖縄北東部の人気のない場所にあるコーヒースタンド。
お店の裏にコーヒー農園がある。
農園の特徴
自然に囲まれたコーヒー園とコーヒースタンド。
小規模ながら、雰囲気のある観光農園。
テラス席もあり、自然にも猫にもたくさん囲まれながらコーヒーを飲むことができる。
コーヒー炭を使用した黒いホットドッグなどもあり、パンの食感が良くて美味しかった。
コーヒーの葉のお茶を無料で出してくれるのが、嬉しい。
コーヒーの特徴
ブラジルのコーヒー豆に、こちらの農園で採れた豆をブランドしているとのこと。
この雰囲気で飲むと特別に美味しく感じる。
豆売りもしていて、焙煎度合い違いで2種類ある。
100gあたり800円から。
ブレンドだけに、お安い。
その他
エネルギッシュだが感じのよい女性のマスターが切り盛りしていた。
父の代から始まった農園とのことで、もう30年くらいになるとのこと。
沖縄の北東部には飲食店があまり見当たらないので、貴重な休憩どころになっていると思う。
農園データ
Hiro Coffee Farm
営業時間:13時〜18時
定休日:火曜・水曜
»お店公式Facebook
観光農園ではないけど、訪問したコーヒー農園
ここからは、観光農園ではないです。
ありがたいことに縁があって訪問させていただきました。
せっかくなので、ご紹介します。
どうしても興味あって現地行ったみたい、という方は、問い合わせてみてください。
イシドウファーム(沖縄県名護市)
INAHO FARM放牧牧場のなかにあるコーヒー農園。
Twitterで私と繋がっている方がやっている、2年目の農園です。
この方のお招きで、今回の沖縄訪問を決めました。
現地をガイドしていただきまして、そのおかげで色々なコーヒー農園を見ることができました。
農園の特徴
観光農園ではなく、現在は個人運営の試験的な農園という感じ。
安里さんのもとで栽培を学びつつ、こちらの農園で実践されている様子でした。
2年目ですが早くも花が咲いており、今年初収穫が期待されます。
色な品種を栽培し、実験しているとのことです。
他にも野菜などを色々と栽培されている様子でした。
今後のご活躍を期待しております!
農園データ
イシドウファーム
»あーちゃん@Twitter
比嘉ファーム(沖縄県東村)
イシドウファームとともに訪問させていただいた農園。
元々農家さんで、コーヒーの栽培はずっと自家消費用だったとのころ。
作付け面積が徐々に増えたことで、沖縄で2例目となるコーヒー栽培での農家認定を受けたという農園です。
農園の特徴
シェードツリー代わりに、ビニールハウスの骨組みに黒い網状のシートが覆われた栽培環境。
色々な品種が栽培されています。
沖縄有数の規模感のコーヒー栽培の様子には、圧倒されます。
観光農園ではありませんが、やろうと思えばいつでもそうすることができる、そんなポテンシャルがある農園でした。
今後がすごく楽しみな農園です。
そのうち、比嘉ファーム産のコーヒー豆が都内のロースターで販売される未来もあるかもです。
農園データ
比嘉ファーム
»ハーモニーファーム@Instagram
古波津農園(沖縄県 屋我地島)
イシドウさんの知り合いの、個人で栽培されている方の農園。
突然の訪問にも関わらず、快く農園を案内してくださいました。
農園の特徴
非常に整理された、キレイな農園でした。
品種はムンドノーボ中心のようです。
沖縄の多くの農園は、品種のことはあまりまだ意識されていないようです。
来年あたり、またできれば是非再訪させていただきたいと思います。
※こちらの農園は住所がわからず、農園データを掲載することができません。
沖縄コーヒー農園のお土産 Best 3
沖縄のコーヒー農園のお土産は、色々と魅力的なものがあります。
ただし、農園によってクオリティやバラエティに激しく差があり、後で「あそこで買っておけばよかった〜」ってなりがちです。
そこで、私の独断と偏見ではありますが、おすすめのお土産BEST3を発表してみます。
コーヒーチェリーのティーバッグ (中山コーヒー園)
なかでも、コーヒーの実を乾燥させたお茶は鉄板。
バラ売りもしていて、1個150円とリーズナブル。
大量買いして、職場のみんなに配布する・・・。
なんて目的のお土産に、最適です。
ちなみに、コーヒーリーフのティーバッグもありますので、合わせて買うと面白いかと思います。
沖縄産コーヒーのドリップバッグ (中山コーヒー園)
沖縄産コーヒー豆をお土産にしたいところですが、希少過ぎて売り切れていたり、価格が高過ぎたり・・・。
なかなか手が出ません。
そこで、ドリップバッグです。
ブレンドなので、100%沖縄産ではありません。
1個あたり600円。
ギリギリ、手が出る価格です。
ドリップバッグとしては高価ですが、豆の値段を考えると良心的なお値段かも。
コーヒーマニアな方へのお土産として、狙い目ではないでしょうか?
コーヒーちんすこう (又吉コーヒー農園)
沖縄土産の定番、ちんすこう。
しかし、ちんすこうをお土産で貰ってすごく嬉しい人って、あんまりいないんじゃないでしょうか?
「お土産をくれる気持ちは嬉しいけど、あえて食べたいと思うほどでもない・・・。」
ちんすこうは、そんなお土産のイメージがあります。
(独断と偏見で言ってます。沖縄の人ごめんなさいw)
そこで、コーヒー風味のちんすこうです。
ちょっと興味湧きませんか?
コーヒーのおともに、ペアリングの相性もバッチリです。
お値段もリーズナブルです。
沖縄コーヒー栽培の歴史
沖縄にコーヒーノキが入ってきたのは、明治初期の1875年。
だからすでに、約150年の歴史があるんですね。
日本でコーヒーの栽培が最初に行われたのは、小笠原諸島である。
・・・というのが今までの定説でしたが、これが間違いで、実は沖縄だったようです。
正確には・・・
元々、日本でコーヒーノキが栽培されるようになったきっかけは、榎本武揚が政府に「キナ・コーヒー(コナコーヒー?)の木導入の建議」を提出したことだそうです。
その建議書には、栽培地の候補として小笠原諸島と沖縄が記されていました。
1875年、政府はその建議に応じ、オランダにコーヒーの苗樹を500本発注。
翌1876年、ジャワ島より苗樹が届き小笠原諸島にて栽培が開始されました。
しかし、前述した通りに沖縄にコーヒーが入ってきたのは1875年。
明治政府より1年早いです。
どうやら、オランダ公使の協力によって1875年11月に112本の苗木が沖縄に持ち込まれた様子でした。
当初は那覇や首里城周辺で栽培されていたようですが、廃藩置県によって職を失った一部支族が沖縄北部や八重山群島に移住し、その際にコーヒーを移植したとも伝えられているようです。
その後、初の沖縄県知事である鍋島直彬が、正式にコーヒー栽培を開始。
数回にわたって、小笠原諸島や宮崎県の試験農場などから、移植が行われました。
栽培・繁殖には成功したようです。
ただし、収穫されたコーヒー豆は流通することなく、長らく自家用として消費にとどまりました。
移植元のジャワ島では、その後1880年代に病害によって一度コーヒーが全滅。
ですので、沖縄の野生で残っているジャワ由来のコーヒーノキは、ある意味で貴重な品種となっています。
(参考文献:四季と珈琲)
現在ではブラジルから移植されたムンドノーボなども多く、広く色々な品種が栽培されている様子です。
でも、一番初めに入ってきたのはジャワ島から来たコーヒーだったんですね。
ジャワから移植されたコーヒーといえば、ニカラグアのジャバニカ種が思い起こされます。
風味は気品あるクリアな甘み。
土地によって風味がここまで変わるんだ、ということを教えてくれる豆です。
沖縄コーヒーの特徴と、東京のロースターからの意見
・・・という印象は完全に覆りました。
現在、トップレベルのブラジルは華やかでキレイな酸があり、ナッティななかにもフルーティさを感じることができます。
沖縄のコーヒーも、このレベルに近づいています。
スペシャルティ認定された沖縄産コーヒーが出てきている通り、一部は近づいているどころか、すでに到達しています。
私が飲ませてもらったアナエロビックは、多分もっと美味しかった。
今後も伸びしろしかなく、期待は大きいです。
ただし、「沖縄コーヒーの特徴はこうである」とひとくくりにして打ち出していくのは、難しい状況です。
各農園とも連携が取れているとは言い難く、それぞれの方法で、バラバラな品種を栽培しています。
今後も、品質や風味が千差万別なコーヒーが生産されるでしょう。
ロースター側としては、「沖縄コーヒー」がブランド化して欲しいところです。
ハワイコナのように。
そうすれば、売りやすいので。
台湾産のコーヒー豆の状況が、ある意味で反面教師になります。
台湾のコーヒーは、最近は日本にも輸入されて出回るようになりました。
希少価値もあるし品質もとても良いです。
しかし、高価過ぎて、売れない。
なぜなら、ブランド力がないからです。
そこまで、高いお金を払ってでも飲むべきコーヒーかと言えば、そうではありません。
もっと安くて、同じくらい美味しいコーヒーは、世界中にたくさんあるからです。
そして、台湾と沖縄の状況は地理的にも近いこともあって、似ています。
価格帯も、同レベルになるでしょう。
だから、沖縄産コーヒーのブランド化は、マストです。
日本産、しかも沖縄という地名は、台湾産とは異なり武器になります。
そこに品質がついてくれば、富裕層に刺さるでしょう。
ハワイコナのように有名銘柄になることの、可能性は十分にあります。
沖縄では、EM菌を使用したアナエロビックに挑戦しているそうです。
それはとても良いアイデアのように思えます。
EMは沖縄から広まったし、聞くととてもユニークな風味が出ているとか。
そのような技術を、ひとつ核として各農家に広めていくのも、ブランド化戦略には有効に働くのではないでしょうか?
なんにせよ、沖縄産コーヒーの未来は明るい。
今後がとても楽しみです。