「未処理の感情に気付けば、問題の8割は解決する」 レビュー
その分、長くなってしまいました・・・
ググれば何でも答えが出てくる時代です。しかし、問題はなくなりません。
それどころか、私たちは同じような問題をくり返し、えてしてくり返すほどに問題は大きくなります。
これらの問題には「未処理の感情」が種となっています。成功法則やテクニック、スキルをいくら学んだところで、その感情に直面して丁寧に取り扱わないと、問題はくり返されます。
ノウハウで乗り切れる時代はおわり、今はノウフー、つまり「あり方」が問われる時代になっている。と著者は言います。
このような人に、この本は処方箋となります。
①おなじような問題を繰り返してしまう
②感情がコントロールできないことがある
③人生の主導権を握ってる感覚がない
また、
④成功のための学びを深めてきた、色々なノウハウを学んできた、ある程度は成果も出してきた。
でも、ココロにもやもやした「何か」がある。
著者紹介
城ノ石ゆかり
株式会社ngoro-ngoro代表取締役社長
熊本生まれ。自分を見失い、生き方を探って瞑想していた20歳のときに大学を中退して世界中を放浪。インドのボランティア施設でマザーテレサとの出会いを果たし、「人が輝いて豊かに生きること」の大切さに気付く。
帰国後は心理学を学びながら、美と心を取り扱うエステティックサロンの世界へ。精神的カウンセリングを取り入れた施術で人気セラピストとなり、全14店舗のエステティックサロンを展開。2万人を超えるダイエット・美容のサポート経験から、本格的なメンタルケアの必要性を痛感。認知行動療法をベースとした「4nessコーピング講座」を開発した。
4nessコーピング講座は、宣伝ナシの口コミのみで初年度全26期を開催。受講生には有名企業の社長や起業家らも名を連ね、東京・大阪・福岡など全国で評判を呼ぶ。個人セッション予約は1年半待ち。
ミドルエイジクライシス
私たちは30代後半から40代で「中年の危機」迎えると言われています。
「中年の危機」とは、中年期特有の心理的危機で、日本では厄年とからめて考えられることも多いです。
・加齢による体の変化
・家族のライフスタイルの変化、子離れ
・職場での変化、管理職としてのストレス
このような問題にココロがさらされる時期です。
このようなとき、幼い頃や思春期につちかった、「認知」が不具合を起こし問題を生み出します。
わたしたちは子供のころ、生きたいくため・環境に適応するために、最適な「認知」を装備しました。
「こうしたら親がよろこんでくれた」
「このような振る舞いをしたら怒られた」
こんな経験によって、起きた物事の善し悪しを自分に説明していきます。自分にとって良い結果が出たと思われる「認知」をくりかえしまとって、わたしたちは大人になります。言い換えれると、「パーソナルな成功法則」です。
「認知」とは環境適応的に作られた自分でもあります。
大人になった我々は、「本来の自分」を無視した「認知」のままに人生を送ると、中年になって不具合が噴出してくる場合があります。
「認知」はアタマ、「本来の自分」はココロ、に近いとも言えます。難しい言い方をすれば、「顕在意識」と「無意識」、ですね。
「中年の危機」は、「本来の自分」からのSOSサインとも言えます。「認知」と「本来の自分」との乖離(かいり)が原因となる不具合です。
人生の主導権を失う
・上司としてこうあるべきだ・・・
・父親として、こうあるべき・・・・
・友人とは、こう付き合うべき・・・
・お金はこう使うべき・・・
・私は、こうあるべき・・・
このような「・・・べき」は、全て「認知」基づいています。
過去の体験から導きだした、「物事を自分自身にどう説明するか」が認知です。私たちは、この認知のフィルタ−を通して世の中を、そして自分自身をみています。
この・・・べきが、本来の自分とはかけ離れている程、感情に振り回されがちです。感情が抑えることにエネルギーを費やしたり、または感情がコントロールできなくなったりします。
そんなこんなで、私たちは次のような状態になりがちです。
①おなじような問題を繰り返してしまう
②感情がコントロールできない
③エネルギッシュになれない
対処方などノウハウを学ぶも、
アタマでは分かってるんだけどなあ・・・、とおなじみの状態になり、同じことを繰り返します。
そしてついには、人生の主導権が自分に無いように感じるようになります。
現代人は、エネルギーの7割を感情を抑えることに使っている
現代人は、エネルギーの7割を感情を抑えることに使っているとも言われています。ブレーキをかけながらアクセルふかしているのと同じ状況です。
「本来の自分」に気づけず無視し続け、「未処理の感情」にフタして抑えつけることに実に7割ものエネルギーを使っているのです。そうやって現代人はガス欠になり、人生の主導権を失っていきます。
認知をゆるめ、本来の自分に寄り添った生き方に修正し、人生を前に進ませる。そのためには「未処理の感情」を利用して、自分をひもとくことが有効です。繰り返す問題の原因となる「未処理の感情」とは、「本来の自分」を生きるためのヒントとなります。
4nessコーピングとABC理論
ここで、著者の提唱する4nessコーピングという手法が出てきます。
これは、
世間の常識や価値観に振り回され、見て見ぬフリをしてきてしまった自分の感情を丁寧に取り扱うことで、本来のあなたに戻っていくための思考法
とのことです。
この思考法は次のステップから成り立ちます。
1・気付く Awareness
2・許す Forgiveness
3・受けとる Mindfulness
4・自分の中心に戻る Oneness
この第一のステップ「気付く」ことに有効な方法が「ABC理論」。
アメリカの臨床心理学者、アルバートエリス博士が提唱した理論です。
A Activating event 出来事
B Belief 信念
C Consequence 結果・感情
通常わたしたちは「A・出来事」がすぐに「C・感情」を引き起こしていると思っています。
しかしABC理論が説明するところによると、「C・感情」は「A・出来事」によって引き起こされたのではなく、出来事に対する「B・認知・とらえ方」によって生み出されています。
人の感情はA→B→Cの順で沸き起こっているとのことです。
わたしたちは、「感情は出来事に対して自然に湧くもの」と無意識に信じてきました。A→Cは瞬時の反応のように思えるので、無理もありません。
しかし、
感情を生み出す「B・認知」は、過去にあなたが経験という名の学習によって身につけてきたもの。
学習によって身につけてたものは、再び学習によって書き換えることが可能です。
「B・認知」を書き換えることによって、「C・感情」を望むものにすることが可能です。
未処理の感情を材料に、本来の自分に気付く
個人の人生にもっとも深く関わり、大切にしたい「B・認知」があります。
それが、「セルフのB」。
自分が自分自身をどう思っているか、自分のことを自分にどう説明しているか。そういった、自分自身の認知に関するBを「セルフのB」と呼びます。
そして、わたしたちの現実は、「セルフのB」の投影です。出来事に対する結果や感情は、B次第でいかようにも変わってきます。
繰り返し引き起こす問題には、その人の歪んだ「B」が潜んでいます。
そして、「歪んだBは現実を歪ませ、歪んだ現実は歪んだBを強化する」このサイクルが出来上がります。「同じような問題を繰り返し、えてして繰り返すほどに問題は大きくなる」仕組みは、このサイクルにあります。
「歪んだセルフのB」には、それと対になる「未処理の感情」があります。これに気づき、丁寧に取り扱うことで、緩めていくことは可能です。
歪んだセルフのBに気づき、それを作り出した未処理の感情に自分でOKを出してやると、Bを書き換えたり、緩めたりすることが可能になります。
実はこの段階で、問題の8割方は解決できたも同然です。
まとめ 「未処理の感情に気付けば、問題の8割は解決する」レビュー
著者は繰り返し言います。
「出来事と感情の関係性は、思っている以上に薄い」と。
私たちの現実に問題を曇らせる未処理の感情とは、世の中の価値観や他人の評価に振り回され、コントロールされる自分そのもの。
未処理の感情は、あなたに気づきをもたらすべく、現実に問題と混乱を起こすことでシグナルを送っているとも言えます。
セルフのBを緩めることは、等身大の自分・本来の自分を認めOKを出すというプロセスでもあります。
いままで本来の自分を抑えるために使われていたエネルギーが、人生を前にすすませるためのエネルギーに転換します。すると、現実がパタパタと音をたてて変わり始めます。
自分で自分のこころの取り扱いができ、感情のエネルギーを有効に使えるようになってはじめて、世にある数多くの成功法則やセラピーが本来の効果を発揮します。
本の要約(意訳?)は以上です。
「四十にして惑わず」、と言いますが、むしろ私は四十にしてはげしく迷いました。笑
そんな私のような方には、体質改善の処方箋として、この本をおすすめしたいと思います。
今日はこんな感じです。
ありがとうございました。