開業に必要な許可証や届出って、どんな感じ?
令和3年に法改正があり、「喫茶店営業許可」が廃止されて「飲食店営業許可」に統合されました。
それに対応した最新版の内容です。
本記事は、
- カフェ開業に必須な資格や届出
- カフェ開業に関連する資格や届出
- 営業許可の取得条件とは?
- コーヒー関連の資格は必要か?
このような内容になっています。
小さなカフェ開業にマストな資格は1つだけ
小さなカフェ開業にマストは資格は、
ひとつだけです。
「食品衛生責任者」です。
ただし、テナントが入る建物によって
防火管理者の資格が必要になる
場合もあります。
カフェ開業に必須な資格「食品衛生責任者」
各都道府県の食品衛生協会が
開催する講習を、1日だけ受ければ
誰でも取得できる資格です。
カフェ開業時には保健所から
「飲食店営業許可」を取得しますが、
そのときに必要になる資格です。
開業後の取得でもOKで、
その場合は
「必ず資格と取得します」
という誓約書を保健所に
提出することになります。
取得には、各都道府県の
食品安全衛生協会が主催する
1日の講座を受講します。
取得費用は自治体によって異なりますが、
大体1万円程度です。
ご注意ください。
カフェ開業する建物によっては必要な「防火管理者」
防火管理者は
出店する建物が「防火対象物」であれば
必要となります。
ざっくり言うと、
常時50人以上が出入りするような
規模の建物内に出店する場合、
選任が必要となります。
各消防庁が講習会を開催しており、
「防火・防災管理新規講習」
という2日間の講習を受講します。
ちなみに、
防火管理者には甲種と乙種があり、
この場合には甲種の取得が無難です。
テナントが決まったら、
その建物が防火対象物かどうか
最寄りの消防署に聞いてみましょう。
カフェ開業に調理師免許はいるの?
調理師免許がなくても
普通にドリンクもフードも提供できます。
ただし、
調理師免許をもし持っている場合は
食品衛生責任者の資格取得が
免除されます。
まったく無駄、というワケではありません。
また、お店の信頼度が上がる、などの
お客様に対する印象アップの効果も
少しはあるかもしれません。
この資格は国家資格です。
そのような資格取得ができる学校に通うか、
2年以上の調理実務経験を経たうえで
各都道府県の実施する試験に合格する
必要があります。
けっこうハードルが高い資格です。
ですので、ほとんどのカフェが
食品衛生責任者の選任で
済ませています。
小さなカフェ開業に必要な営業許可・届出は?
小さなカフェ開業に必要な営業許可や届出も
基本的にはひとつだけです。
保健所に対する「飲食店営業許可」の申請です。
しかし、場合によっては
- 保健所へのコーヒー製造業の届出
- 消防署への防火対象物使用開始届出書の提出
が要求される場合があります。
飲食店営業許可申請
保健所へは、通常
「飲食店営業許可」
の申請をします。
令和3年より、
「喫茶店営業許可」の区分が廃止に
なり、「飲食店営業」に統合されました。
申請にはいくつかの条件があります。
例えば
- 手洗いシンクの設置
- 食器洗いシンクの設置
- 食器のための扉つき収納の設置
- お客様も利用できるトイレの設置
- カウンター内で調理などすること
などなどです。
また、飲食店としての営業で、
お酒の提供も可能です。
コーヒー製造・加工業の届出
コーヒー製造・加工業の届出は、
コーヒー豆を販売する場合に必要となります。
店内で豆をグラインドしたり、
焙煎機を設置して自家焙煎をしたり
何かしらの加工が加わる場合には
マストな届出になります。
今までは必要ありませんでしたが、
令和3年6月から施行されます。
少し厳しくなったんですね。
保健所に届出をする必要があります。
「飲食店営業許可」の申請書に
記入欄があり、そちらに記載するだけで
OKです。
書き方は、保健所の方が教えてくれます。
届出るために必要な資格がひとつあり、
それは「食品衛生責任者」です。
ただし、飲食店営業許可証で選任する
食品衛生責任者と兼任することができますので
ここはあまり意識しなくても大丈夫です。
届出なので、保健所の方の立ち入り
検査はありません。
防火対象物使用開始届出書
入居する建物が「防火対象物」の場合に
最寄りの消防署に届け出るものです。
届出を出し、
消防署の方にテナントに来てもらって
検査を受けます。
また、上で記載したとおり
防火管理責任者の選任も必要となります。
焙煎機を設置する場合、
保健所対応で気を付けるべきポイントがあります。
↓こちらの記事にしております。
>>関連記事:焙煎機設置のお役所対応の備忘録(note)
基本的にいらないけど、場合によっては必要な営業許可・届出
通常のカフェ営業であれば、
基本的にはいらないけれど、
場合によっては必要な営業許可や届出を
まとめてみました。
アイスクリーム類製造業許可
ソフトクリームなどを提供し、テイクアウトでの
販売する場合にはこちらを取得します。
店内飲食のみであれば、「飲食店営業許可」で
済みます。
ただし、その部分の判断は保健所の担当者に
よって異なることがあります。
最寄りの保健所に確認してみてください。
取得には16,800円かかります。
菓子製造業許可
店内で焼き菓子やパンなどを
調理して提供し、
しかも持ち帰りでの提供をする場合、
取得します。
店内飲食のみであれば、
「飲食店営業許可」の範囲内なので
取得は不要です。
取得費用は16,800円です。
深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
0時以降の深夜時間帯にお酒の提供を
したい場合は、
「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」
を提出することになります。
開業届け
それと、個人で開業する場合には
開業届けの提出がマストです。
これは、最寄りの税務署に提出します。
書き方は簡単で、
税務署に行けばその場で用紙をもらって
記載し、そのまま提出することができます。
飲食店営業許可証の取得条件とは?
飲食点営業許可証の取得条件をまとめてみます。
保健所の検査をクリアする為の条件です。
- 食品衛生責任者の資格保持者を1名選任すること
- 手洗いシンク(規定の大きさあり)があること
- 一槽の食器洗いシンク(内径450×360×180以上)があること
- カウンターで客席と厨房が分かれていること(カウンターの出入り口には最低でもスイングドアを設置すること)
- カウンター内の床は、耐水性であること
- 食器をしまう扉付き戸棚があること
- お客様も利用できる手洗い付きのトイレがあること(お客様が厨房を通らずにトイレに行けること)
他にも色々と細かいことはありますが、とりあえずこれだけ遵守すれば、大きな落とし穴はないかと思います。
これだけで、通常のカフェやコーヒーショップの営業許可は受けられます。
ただし、店内で本格的な調理を行いたい場合(菓子製造も含む)は、追加で必要になるものがあります。
- 食器洗いシンクは二槽シンクにすること
- 給湯器があり、食器洗いにお湯が使えること
油汚れをしっかりと落とすためだそうです。
これらがない場合でも飲食店営業許可は取得できますが、でも「調理はやってはいけない」という条件付きになるそうです。
(※以前は、この二つがクリアできないと飲食店営業許可は取得できませんでした。)
その他、保健所の担当の方によっては、かなり細かいことまで言及される場合があります。
- 従業員の着替えの場所を確保すること
- カウンター内の手洗いシンクは、カウンター入ってすぐに設置すること
- トイレからカウンター内まで少し距離をとること
などなど、今まで指摘された場合もあります。
手洗いでも変更点があります。
手洗いシンクの水栓のタイプが、ひねるタイプが禁止となり、レバータイプもしくはセンサータイプが指定されました。
禁止されたひねるタイプ。
指定されたレバータイプ。
水を出すときに、指に雑菌やウイルスが付着しないようにする為、とのことです。
レバーなら肘で操作できるでしょ、という理屈のようですw
コーヒーマイスターなどのコーヒー関連の資格って必要?
小さなカフェの開業で
売上に直接効果のあるような
資格は無いです。
資格があれば
お客様からみてお店の信頼性が
少し高まる効果は、
もしかしたらあるかもしれません。
ただ、99%以上のお客様は
そんなことを気にされません。
コーヒーショップに入って店員さんの資格の「ある」「なし」なんて気にしませんよね?
コーヒーの資格の本質
あくまでも資格は、
自分の勉強の為、と
割り切りましょう。
しかし、そこで学べる内容は
独学でも十分学べる内容だったりします。
今はネット上に情報が溢れており、
ブログや
YouTubeで
十分すぎるほど勉強はできます。
さらに、コーヒー関連の資格は
結構お金のかかるものが多いです。
しかも、定期的にそれなりの更新料を
とられます。
ただし、その資格が利益を産むことは
ほぼありません。
厳しい言い方をすると
コーヒーの資格というものは
「コーヒー好きをターゲットにした
資格ビジネスそのもの」
の面が強いかと思います。
という方は、日本スペシャルティコーヒー協会認定の次の2つの資格を検討されてみてはいかがでしょうか?
コーヒーマイスター
コーヒーマイスター養成講座を受講することで
資格を取得することができます。
専用テキストを自宅で勉強し、
かつ1回の実技講習を受講します。
費用は39,000円。
3年ごとに更新料が10,000円必要になります。
内容は、
- コーヒーとカフェの歴史
- コーヒーの生豆について
- コーヒーの産業・経済
- コーヒーの産地情報
- コーヒーの抽出技術と食器の知識
- コーヒーの科学と健康について
です。
Qグレーダー
主にコーヒー豆の品質を鑑定する技能を
獲得することを目的とした資格です。
コーヒーの豆売りに挑戦するお店であれば
コーヒーの仕入れで役に立つかもしれません。
費用は35万円ほどと高額です。
この資格は、
コーヒーの輸入商社への就職などの方に
より役立つ資格です。
国際的な評価基準なので、
海外でも通用します。
そのような意味では、
コーヒー関連の資格のなかでは唯一、
価値のある資格かと思います。
ただし、「品質の良いコーヒー」と
「売れるコーヒー」は、また別物。
カフェ開業に役に立つかと言えば
微妙なところです。
こんな感じで、
色々とコーヒーの資格について
厳しい意見を言いましたが
コーヒーのことを体系立てて、
効率よく学びたい!
という方にはおすすめします。
カフェ開業に必要な資金はどのくらい?
いくらくらい必要でしょうか?
結論から言うと、
自己資金は100万円程度あれば
小さなカフェの開業はできます。
もちろん、100万円だけでは足りず
金融機関から借入を行います。
400万円の融資を受けるとして、
自己資金100万円と合わせて
全部で500万円。
これが、ミニマムな開業資金です。
カフェ開業資金の内訳
もちろん、テナントの家賃や
やりたいお店の内容によって
必要な開業資金の金額はピンキリです。
そこで、ざっくりとした感じにはなりますが
開業資金の内訳を解説します。
開業資金では3つの費用が
約8〜9割を占めることになります。
- テナント取得費用
- 外装・内装費
- 厨房設備費
①テナント取得費用
テナント契約時に支払う費用です。
・保証金(退去時に戻ってきます)
・仲介手数料
・火災保険料
・家賃の前払い分
などが含まれます。
大体、家賃の
10〜13倍程度になることが多いです。
つまり、
家賃が月10万円のテナントであれば
テナント取得費用は100〜130万円になります。
②外装・内装費用
お店の外観を改装したり、
内装を整えたりすることに使う費用です。
・入り口のドアやテントの工事
・トイレなど水回りの設置
・照明など電気工事
これらも含まれます。
この費用も物件によって
大きく左右されます。
一般的な計算方法としては、
坪数×40万円くらいでしょうか。
10坪の店舗だとしたら、
400万円くらいの計算になります。
ただし、上手くやりくりすれば
大幅に削減することができます。
安く抑えるためには、
前テナントの残地物を上手に活かし、
自分で手配できることは手配し、
自分で工事できることは自分でやりましょう。
③厨房設備費
冷蔵庫や調理設備の費用です。
カフェの場合は
コーヒーマシンや
コーヒーグラインダーなどの
費用がかかります。
業務用のものを新品で買ってしまうと
非常に高価です。
数百万円がすぐに溶けてしまいます。
そこで、
中古のマシン
家庭用のマシン
を上手く取り入れてやりくりして
安く済ませることが肝心です。
その他の費用
カフェ開業資金として他に必要なものは、
- 材料費(原価)
- 運転資金(人件費含む)
が大きいです。
業態やお店にもよりますが、
- 材料費は20〜30万円程度
- 運転資金は、人を雇わない小さいお店であれば100万円程度
これくらいの準備で良いのではないでしょうか。
カフェ開業資金のまとめ
小さなカフェ開業資金をまとめると、
開業資金のトータルは500万円程度でも可能。
内訳は、
- 物件取得費で130万円(家賃10万円の場合)。
- 内装費で150万円(前テナントの残地物を活かせた場合)。
- 厨房設備費用で50万円(中古や家庭用マシンを購入)。
- 原材料費で30万円。
- その他の費用で40万円。
- 運転資金を100万円確保。
以上、トータルで500万円になります。
小さなカフェ開業の「資格・許可・届出」の総まとめ
- 資格
- 許可証
- 届出
これらをまとめます。
【必須な資格】
食品衛生責任者
【必須な届出・許可】
飲食店営業許可
【場合によって必要な資格】
防火管理者
【場合によっては必要な許可・届出】
防火対象物使用開始届け
コーヒー製造業届け
アイスクリーム製造業許可
菓子製造業許可
開業届け
このような感じでしょうか?
許可と届出の違いは、ざっくり言うと、
許可はお店への立入検査があります。
届出は書類提出で終わりです。
保健所
消防署
税務署など
それぞれ管轄が違いますので
最初はとまどいますよね。
どちらの資格も簡単に取得できますし、
どちらの届出書も書き方は簡単です。
インターネットや窓口で書式は手に入りますし
書き方も丁寧に教えてくれます。
取得できないことはないので、頑張ってみてください。
今日のところはこんな感じです。
ここまでお読みいただきまして
ありがとうございました。
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