どうやって保管すればいいの?

なぜコーヒー生豆の保存が重要なのか
コーヒーの美味しさを実現するうえで、生豆の鮮度は非常に重要な役割を果たします。
適切に保存されて鮮度が保たれた豆は、焙煎時により豊かな香りと深い味わいを生み出し、一杯のコーヒーをより特別なものにします。
焙煎豆とは異なり、コーヒー生豆は適切な保存条件下であれば1年以上の長期保存が可能です。
しかし、間違った保存方法では、せっかくの高品質な生豆も風味が劣化し、本来の魅力を失ってしまいます。
コーヒー生豆の保存の基本原則:鮮度を保つ4つの敵

1. 湿度
乾燥は品質劣化につながる最も大きな要因です。
逆に高湿度環境も悪影響があり、生豆にカビが発生するリスクが高まります。
適度な湿度を維持することが重要です。
2. 酸素(酸化)
近年一部の生豆は、酸化の影響も排除すべくバキュームパックにて輸送されるようになりました。
生豆は焙煎豆ほど酸化しやすくありませんが、長期間空気に触れることで徐々に品質が劣化するからです。
密閉性の高い容器での保存により、酸化を最小限に抑えることも必要です。
3. 温度変化
温度の変動は生豆の細胞構造に影響を与え、風味成分の分解を促進します。
特に急激な温度変化は生豆にストレスを与えるため、安定した温度環境での保存が理想的です。
4. 光(紫外線)
直射日光や蛍光灯の紫外線は、生豆の風味成分を分解し、緑色の色素を褪色させます。
遮光性の高い容器や暗所での保存が必須です。
【期間別】コーヒー生豆の具体的な保存方法と容器
保存期間と使用頻度に応じて、最適な保存方法を選択しましょう。
短期〜中期保存(〜1年):冷暗所にて密閉して常温保存
推奨容器
- 密閉性の高いガラス瓶
- 真空パック容器
- 食品用保存袋(ジップロックなど)
- 金属製の缶(コーヒー缶など)
保存場所
- パントリーや戸棚など、温度変化の少ない場所
- 直射日光の当たらない涼しい場所
- キッチンのシンク下など湿気の多い場所は避ける
ポイント
この方法は最も手軽で、頻繁に使用する生豆に適しています。
容器を開閉する際は、手早く行い、空気との接触時間を最小限に抑えましょう。
長期保存(1年以上):通気性の良い袋で冷暗所で常温保存
湿気によるカビを防止しつつ適切に保存すれば、エイジングを楽しむことができます。
超長期に渡って保存し、独特の枯れ感がある風味を楽しむことができます。
推奨:麻袋(ドンゴロス)で保存する
- 適度な通気性により湿気を調整できる
- 遮光性が高い
ただし、害虫対策が必要です。
梅雨の時期などはカビに注意で、晴れの日に適度に撹拌するなどして対応しましょう。
焙煎したコーヒー豆を数ヶ月寝かせることをエイジングコーヒーと言ったりもしますが、ここではコーヒー生豆を数年〜数十年寝かせたものをエイジングコーヒーとします。
エイジングコーヒー、またはオールドビーンズとも言います。
年月がたつにつれ乾燥して黄色くなり、やがて少し茶色がかります。
味は一般的に枯れた味になり、華やかな酸味は失われます。
しかし、その味が美味しいと感じる人もいるようですし、エイジングすることで美味しくなるコーヒー豆も稀にはあるとの噂です。
コーヒー生豆の保存期間の限界

ただし、保存状態や豆の種類によって期間は変動します。
劣化の兆候
以下のような変化が見られた場合は、品質が劣化している可能性があります。
視覚的な変化
- 緑色の褪色(黄色っぽく変色)
- 欠点豆の増加
嗅覚的な変化
- 青臭い匂いの減少
- 異臭(カビ臭、酸っぱい匂いなど)
- 乾燥した枯れ草のような匂い
触感の変化
- 豆が乾燥でカピカピになる
- 逆に湿気により柔らかくなる
- 割れやすくなる
コーヒー生豆の賞味期限
コーヒー生豆の賞味期限は特にありません。
コーヒーの種類にもよりますが、最初は水分を含有して緑色がかった生豆でも、長期保存によって水分が抜けて黄色っぽく変色していきます。
色の変化とともに風味や個性も失われ、風味もワラっぽい枯れた味になっていきます。
このあたりが味の賞味期限と言うこともできます。
良い保存状態を保ったとしても、収穫されてから2年程度が風味や個性を保つ限度です。
(それ以上のエイジングは独特な風味になりますが、それはそれでアリかもです。)
その為、生豆を購入する場合には、できれば日本に入港された時期の確認をしたいところです。
保存期間別コーヒーの生豆の呼び方
コーヒー生豆はクロップと呼ばれ、収穫後の経過によって一般的に4つの呼び方があります。
ニュークロップ
今年度に収穫された新しいコーヒー豆。年度の終盤には次年度産のものを指すことになります。
カレントクロップ
今年度に生産されたコーヒー豆。ニュークロップより少し時間が経過したものを指します。
コーヒー豆の収穫時期は長く、また年に2回収穫される地域もある為、ニュークロップ・カレントクロップが使い分けられます。
パストクロップ
前年度に収穫されたコーヒー豆。ここまでは普通に流通しています。
オールドクロップ
前年度以前収穫されたコーヒー豆。まれに普通に売ってくる商社もいるので注意。
ざっくりとですが、
- 北半球の産地は10〜3月
- 南半球の産地は4〜9月
- 赤道直下の産地は年2回収穫
(グアテマラ・カリブ海諸国など)
(ブラジルなど)
(コロンビア・インドネシア・タンザニアなど)
こんな感じです。ここから約半年をかけて日本に入港してきます。赤道直下の産地は、正直、一年中入港してくるイメージがあります。笑
コーヒーの生豆保存でおすすめの容れ物・容器
コーヒー生豆の保存に適した容れ物ですが、
- コーヒー豆の乾燥を防いで
- 光も遮断するもの
が望ましいです。
とすると、幸せなことに日本には古くからそのような容器が存在します。
それは、
・お茶箱
・お茶缶
・米袋
です。
業務用なら、お茶箱か米袋
業務用としてお店で使用するのであれば、お茶箱か米袋がおすすめです。
お茶箱とは
最強の保存容器です。
お茶箱は杉材を使用した木箱ですが、
内側にトタンが貼ってあります。
杉材が温度変化をカットし、
内側のトタンが湿度変化から
豆を守ってくれ、
豆の水分の蒸発も防ぎます。
非常に優れた容器です。
ただ場所をとるので、
使用できるシーンは限られてきます。
米袋とは
もうひとつの候補である米袋。
クラフト袋が二重になっていて保湿性が高いタイプのものがあります。素材も丈夫で、紐付きで繰り返し使えるようになっています。大きな米袋であれば、コーヒーの生豆が10キロ程度入ります。スペースもとらず、使い勝手も良いです。
ウチでは、
1店舗目ではお茶箱を使用しておりましたが、倉庫を作ってからは米袋を使用するようになりました。倉庫で米袋に10キロ単位で小分けにして、それを店舗に配送するようにしています。
家庭用ならお茶缶
家庭用ならば、余っているお茶缶などがあれば、それに入れると良いかと思います。お茶缶は中蓋があり、密閉性が高いです。光も湿気もしっかり遮断してくれますので、非常に優れた容れ物です。
このように、お茶と米は歴史が長いだけあって、その関連器具には優れた機能を持つ道具が揃っています。それをコーヒーにも流用しない手はありません。
よくある質問(FAQ)
Q: 生豆を冷蔵庫や冷凍庫で保存しても大丈夫ですか?
A: 推奨はしませんが、適切な容器と方法であれば可能です。
完全に密閉された状態で、冷蔵庫では1年程度、冷凍庫では1年以上の保存が可能です。
ただし、結露対策が重要です。
使用時は必ず常温に戻してから開封してください。
Q: 生豆に虫がわいてしまったらどうすれば良いですか?
A: 残念ながら、虫がわいた生豆は使用を避けることをお勧めします。
ピッキングして取り除きましょう。
米と異なり虫が湧くことは少ないですが、予防策としては密閉容器での保存と適切な湿度管理です。
Q: 生豆はどのくらい持ちますか?
A: 乾燥や温度変化、酸化などにより劣化が進みます。
適切な保存で12ヶ月程度を目安にし、できるだけ早く使い切ることをお勧めします。
Q: 生豆の保存に最適な湿度は?
A: 40~60%程度の湿度が理想的です。
高すぎるとカビの原因となり、低すぎると豆が乾燥して風味が抜けやすくなります。
Q: 麻袋での保存は家庭でもできますか?
A: 可能ですが、湿度対策と害虫対策が必要です。
家庭では密閉容器での保存の方が実用的でしょう。
コーヒー生豆の適切な保存で最高のコーヒー体験を

湿気や乾燥、酸化、温度変化、光、の4つの要因から生豆を守り、保存期間と使用頻度に応じて最適な方法を選択することで、生豆本来の風味を最大限に引き出すことができます。
コーヒー生豆の保存期間ですが、
収穫から1〜2年以内であれば、風味が保たれ美味しく飲めます。
保存期間の目安を考えるうえで、できれば入港された時期もチェックしたいです。
(入港した時期の半年前が収穫された時期です)
保管方法ですが、
密閉できる容器で冷暗所で保管を推奨します。
温度変化・湿度変化・物理的な衝撃など、刺激を与えないことが重要です。
家庭では難しいかもしれませんが、真空パックでの保存はとても有効です。
今日の記事はこんな感じです。
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