先日、こんなツイートをしました。
コーヒー相場が高騰してますが、その影響を受けるグレードの豆は、専門店ではあまり使われません。
スペシャルティグレードの豆の価格は、そこまで変動していないです。
世間で言われるほど影響は大きくないです。
まだ。ただし、円安の影響は受けます。
だから、今後の仕入れ価格には影響します。— いっちー@焙煎屋 (@icchicoffee) June 10, 2022
昨今、コーヒー豆に限らず、物価の高騰が騒がれています。
- コーヒー豆の価格って本当に高騰しているのか?
- コーヒー店って儲かりにくくなったのか?
- 今後はどうなっていくのか?
今日は、このような疑問にお答えします。
コーヒー豆は高騰している?その原因は?
コーヒー豆は確かに高騰してます。
しかし、それって最近に限ったことではありません。
上のチャートは、ここ10年の米国コーヒー先物価格のデータです。
2014年に一度高騰し、最近また高値となっております。
でも歴史を振り返ってみると、これくらいの高騰は何度もありました。
コーヒー豆高騰の原因は?
コーヒー豆高騰の原因は多くの要因があります。
- 投機資金の流入
- 病気や気候変動による収穫減
- 消費量の増加
- 円安
コモディティクラスのコーヒー豆は、米国のコーヒー先物相場によって価格が変動します。
世界的な金融危機により、投機資金がリスクを嫌ってコモディティに流れ込んで来ているため、現在は価格が高騰しています。
コーヒーの木が病気で枯れたり、干ばつで収穫減となると、当然価格が高騰します。
新興国、特に中国などでのコーヒー豆の消費が多くなり、コーヒーの価格を押し上げる要因になっています。
日本円が安くなると、当然のことですがコーヒー豆の輸入価格が高騰します。
これらの要因が複雑に重なり合い、コーヒー豆が値上がりました。
値下がりする要因が今のところ見当たらないため、今後も当面は高い価格帯が続くと思われます。
値上がりしていないコーヒー豆もある
一方で、あまり値上がりしていないコーヒー豆もあります。
スペシャルティグレードと呼ばれる、一部の高品質なコーヒー豆です。
このグレードの豆は一般的に投機の対象になっておらず、米国のコーヒー先物相場の影響を受けません。
農園から直接輸入業者が買い付けるからです。
その為、このクラスの豆は価格の変動がゆるやかです。
ただし気候変動や円安などの影響は受けます。
実際に、コーヒー生豆はどのくらい値上がりしたの?
実際に、コーヒー店が商社から生豆を購入するときの価格って、どの程度値上がりしたのでしょうか?
ブラジルのコモディティグレード(一般的なグレード)のコーヒー豆は、数年前は1kgあたり600円台だった豆が、今は1,000円台になっていたりします。
こんな感じで、コモディティは約1.7倍程度になっていたりします。
一方で、スペシャルティグレードの豆は価格が変動していない豆も多いです。
私の肌感覚で言うと、スペシャルティは1.1倍程度の値上がり幅に収まっているかと思います。
ですので、一般的に言って
- 低品質の豆は激しく値上がりしている
- 高品質な豆はあまり値上がりしていない
と、いうことが言えるかと思います。
コモディティとスペシャルティの違いとは?
コモディティコーヒーとは、商品先物取引で売買される市場のコーヒーのこと。
NYの市場で価格が決まります。
一方でスペシャルティコーヒーは、スペシャルティコーヒー協会の基準で定められた高品質なコーヒーのこと。
商品先物市場とは違い、農園から輸入商社が直接買い付けることが多いです。
つまり、
コモディティは缶コーヒーや大手チェーン店で使われる大量生産品用のコーヒー豆。
スペシャルティは専門店で使われるような高品質なコーヒー豆。
単純に言うとこのような感じになります。
コーヒー豆の販売価格は、値上げしてるの?
コーヒー豆の販売価格は、大手であればあるほど、値上げに積極的です。
一方で値上げしていないコーヒー専門店も多く、この違いはどうしてなのでしょうか?
大手コーヒー関連企業の対応
味の素AGF社、キーコーヒー、ネスレと業界大手3社は値上げに動きました。
スタバやタリーズもドリンクと豆をそれぞれこの4月より値上げ。
カルディも昨年末にコーヒー豆を値上げしています。
基本的に、大手は大量生産や原価低減のため、コモディティクラスのコーヒー豆を使用しています。
その為、米国相場の影響を受けますので値上げに追い込まれています。
小規模な自家焙煎コーヒー店の対応
一方で、個人経営などの小規模な自家焙煎店は、値上げしていないお店もあり、対応はバラバラです。
低価格帯のコーヒー豆を販売している昔ながらのお店は、仕入れ値の高騰に苦しんでいる印象があります。
高価格帯のコーヒー豆を販売しているスペシャルティコーヒー専門店は、あまり影響を受けておらず、値上げにも慎重かと思います。
ざっくり乱暴に言うと、そんな感じかもしれませんね。
コーヒー豆の高騰は、これからの続くの?
コーヒー豆高騰の主な原因となる、
- 気候変動
- 異常気象
- 金融危機
- 世界的なコーヒー消費の増加
これらは、今後も緩和していくとは到底思えません。
むしろ、もっと拍車がかかるのではないでしょうか?
その為、コモディティグレードの豆の高騰は、今後も続くか、もしくはもっと高くなるかのどちらかだと予想されます。
一方で、現在の進み過ぎた円安は、どこかで反動が来るでしょう。
今、世界はドルVS資源という構図になりつつありますが、ドルの足元が脆くなっているように見えます。
なので、スペシャルティグレードのコーヒー豆の価格高騰は、近いうちに天井となる可能性がある、かもしれません。
コーヒー豆の高騰で、コーヒー店の経営は大丈夫?
数年前と比べて、コモディティのコーヒーが激しく値上がりしました。
ですので、「安かろう悪かろう」のお店が窮地に追い込まれています。
一方で、スペシャルティコーヒー専門店は、あまり影響を受けていません。
コモディティがこれ以上高騰すると、もはやスペシャルティとの価格の差が無くなります。
そうなると、逆にスペシャルティの争奪戦となり、引きずられてスペシャルティの高騰を招く恐れがあります。
ウチはスペシャルティ専門店だから大丈夫!
と思っていたとしたら、少し甘いかもしれません。
最悪のケースを想定し、今後はスペシャルティも高騰すると思っていた方が良いでしょう。
その為の準備として、しっかりとした単価が取れる商品の開発をする必要があると思います。
コーヒー豆の高騰は続く。
これからはスペシャルティも高騰するかもしれない。
なので、
単価が高く粗利率の良い商品やサービスを考える。
店舗運営のコスト削減にも取り組む。
ってことですね。
今日はこんな感じです。
ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。