でも実は、
「ムラができること=悪いこと」
ではありません。
先日、こんなツイートをしました。
「自家焙煎でムラができること」は「悪いこと」ではありません。
ムラとは焙煎の度合いが微妙に異なる豆が混ざった状態。それは味わいの豊かさ・奥深さをもたらします。
均一性や味のクリアさに拘る余りにムラを嫌って、コーヒーの楽しみ方の幅を狭めてしまっている人は多いのではないでしょうか?
— いっちー@焙煎屋 (@icchicoffee) June 23, 2022
私が言いたいことはただひとつ。
「自家焙煎でムラはあって当然。
焙煎をもっと気楽に楽しもう!」
です。
この記事で、みなさんのコーヒー焙煎のムラに対するイメージが変わってくれると嬉しいです。
![この記事を書いた人](https://afroaster.com/wp-content/uploads/2022/02/自己紹介2022.png)
動画でも解説しました。
記事を読むのがメンドウな方はこちらをどうぞ。
コーヒーの自家焙煎はムラになりがち
コーヒー豆を自家焙煎すると多かれ少なかれ、ムラが出ます。
ムラは一般的にはマイナスなものとされ、
狙った風味が出せない、とか、
風味が濁る、
と思われています。
それでは、ムラができる原因は何でしょうか?
ムラになる原因1 焙煎量が少ない
自家焙煎だと特にムラになりがちなのは、一度に焙煎する量が少ないからです。
焙煎は、豆同士が蓄熱する熱が寄り集まって進んでいきます。
少ない豆量で焙煎すると、どうしても蓄熱の力が弱まり、均一に熱が入りづらくなります。
業務用の大型焙煎機では、大量の豆同士が密着しますので、均一に熱が入っていきます。
お店で売られているコーヒー豆にムラが少ないのは、これが要因です。
ムラになる原因2 豆の大きさや品種が混ざっている
コーヒー豆は、そもそも均一の形状や大きさではありません。
また、シングルオリジンと言えど、数種類の品種が混ざっていたりします。
つまり、コーヒー豆一粒一粒が全く異なるモノだということです。
完璧に均一にムラなく熱が通るワケがありません。
ムラになる原因3 焙煎時間が短い
ムラの原因に焙煎の技術が関わるとしたら、これです。
焙煎時間が短過ぎて、強く熱が入っている部分と、弱い部分に分かれる場合があります。
弱火で長くじっくり焙煎した方が、ムラが少なくなることは確かです。
後ほど解説します。
![コーヒー豆 焙煎の時間について考える](https://afroaster.com/wp-content/uploads/2020/05/vladimir-proskurovskiy-P2X_zf9o094-unsplash-320x180.jpg)
ムラになりにくい焙煎とその注意点
それでは、ムラになりにくい焙煎のやり方を解説します。
4つのコツがあります。
- ムラになりにくいコーヒー豆を選ぶ
- できるだけ多くの豆を一度に焙煎する
- 焙煎の初期段階、水抜きをじっくり進める
- 焙煎後にハンドピックをする
①ムラを防ぐには、コーヒー豆選びが一番重要
ムラになる原因の第1位は、不揃いコーヒー豆の大きさ・形状です。
グレードの低い安いコーヒー豆は、粒が不揃いで欠点豆も多かったりします。
なるべくグレードが高く、大きめな粒で形の揃っているものを選びましょう。
豆によっては、品種が統一されているものもあります。
そのような豆は粒の形状も揃ってますので、ムラが出にくいです。
雑多な品種が混ざっているコーヒー豆は、やっぱりムラになりやすいですね。
エチオピアとか、特にその傾向があります。
![【コーヒー生豆の選び方】プロが豆選びの基礎を簡単に解説します。](https://afroaster.com/wp-content/uploads/2020/11/コーヒー生豆選び方アイキャッチ-320x180.jpg)
②なるべく多くの量を一度に焙煎する
焙煎機や焙煎器はそれぞれサイズが異なり、それぞれに合った焙煎量があります。
なるべく隙間を無くし、攪拌できるギリギリの多い量で焙煎すると、上手に均一に熱が入ります。
ただし、焙煎中に豆は膨らんで体積が増えるので注意。
多く入れ過ぎると、膨らんだときに攪拌できなくなります。
③焙煎の初期段階、水抜きをじっくり進める
焙煎の技術の差が出るのは、火力調節の部分です。
焙煎の初期段階、水抜き(蒸らし)の段階を、ややじっくりめに時間をとって進めてあげると、ムラを防ぎやすいです。
ただ、その後はしっかり火力を加えて、適正な時間内で焙煎を終わらせましょう。
最後までじっくりやって長時間焙煎してしまうと、風味が死んでしまいます。
④焙煎終了後、ハンドピックをする
焙煎が終わって冷却が済んだら、色素が明らかに薄いものをハンドピックで取り除きます。
ハンドピックは、これだけで十分です。
焙煎前の生豆の状態でハンドピックする必要はありません。
やる意味が無いとまでは言いませんが、コスパの悪い努力かと思います。
ムラを防ぐ焙煎の注意点
ムラを防ぎたい為に、弱火でじっくり焙煎を進める方がいますが、危険です。
中コゲの原因となり、風味が死んでしまうからです。
コーヒーの旨味が無くなり、コゲや炭っぽい味になります。
コーヒー豆はそもそも、内部に熱が入り込みやすい性質を持っています。
そこで弱火で焙煎をしてしまうと、内部が先にコゲてしまう現象が起こります。
これを中コゲと言います。
その後は通常通りの適切なスピードでの焙煎を心がけましょう。
コーヒー焙煎のムラは悪いことではない?
一般的な認識として、コーヒー豆の焙煎でムラができることは「悪いこと」とされています。
しかしムラは本当に悪いことでしょうか?
ムラがあるデメリットとしては、
「風味が濁る」
といったところです。
しかしこれは、「美味しく無い」ということではありません。
風味が濁ってクリアさは失われるかもしれませんが、代わりにコクを感じやすくなる、というメリットがあります。
コーヒーは、数種類の豆を配合してブレンドを作る、ということが当たり前に行われています。
ムラがある状態というのは、「焙煎度合いのやや異なる豆がブレンドされている状態」と言えます。
ムラがあることで、奥行きのある多様な旨味を感じることもできます。
均一性やクリアさにこだわる余りに、コーヒーの楽しみ方の幅を狭めている部分が、もしかしたらあるかもですね。
ハンドピックはやらなくてもOK
焙煎前に、ハンドピックを行なって欠点豆を取り除く方は多いかと思います。
コーヒー焙煎をやる方はこだわりが強い方が多いので、欠点豆を気にしがちです。
ムラを少なくしたい場合、ハンドピックで小さい豆や大き過ぎる豆などまで取り除き、粒の大きさを均一にする必要があります。
ただ、そこまでする必要があるのか、少々疑問な面もあります。
ハンドピックは、やるに越したことはありませんが、やらなくても大丈夫。
そもそも、コーヒーの味に対する欠点豆の影響力なんて、微力過ぎるものだからです。
ムラを嫌うと弊害もある
コーヒーの焙煎で、神経質にムラを嫌ってしまうと、弊害が大きくなります。
弊害その1・中コゲとなり、風味が死んでしまう
ムラを防ぐ為に弱火でじっくり時間をかけて焙煎してしまうと、先に豆の内部が熱され過ぎてしまいます。
内部の風味がコゲっぽくなって、コーヒーの旨味がなくなる「中コゲ」という現象です。
焙煎の火力や時間は、バランスを重視する必要があります。
弊害その2・風味が弱くなる
ハンドピックをし過ぎて豆の均一化を進めると、クリアな風味になりますが、逆に言うと単調で奥行きのない風味になります。
どこかでバランスをとって、ある程度のムラは許容しても良いのではないでしょうか?
ムラはあって当然。焙煎をもっと気楽に楽しもう!
業務用の大型焙煎機でない限り、ムラはあって当然です。
そして焙煎に自信のない人ほど、自分の焙煎の欠点探しをしてしまうもの。
スモーキーな風味だな・・・
ムラも気になるな・・・
こんな感じで、マイナス部分にばかり目がいきがちです。
そして、自分の焙煎の腕は、まだまだだな・・・。
みたいな結論になりがちです。
私もかつてはそうでした。
でも、今は分かります。
焙煎の腕は問題ではありません。
大切なのは、豆選び。
そして、ムラはあって当たり前。
豆の品質が良ければ、どのような焙煎をしても、美味しさを見出すことはできます。
ときには、自分の狙っていない焙煎になってしまっても、そこから新たな美味しさを発見することもあります。
もっと気楽に、もっと自由に柔軟に、焙煎を楽しんでいきましょう!
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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