美味しい豆って、生豆の段階で分かるの?
地雷のようなコーヒー豆ってどうやって避けることができるの?
コーヒー生豆の選び方ですが、基本的には難しいです。
実際のところプロでも、焙煎して飲んでみないことには、分かりません。しかし豆を買い付ける身として、日常的に生豆の選定を行っていると、ある程度推測することができるようになります。
長年の経験をもとに直感的に選別をしていましたが、今回はそれを因数分解しました。私なりの良い豆の見分け方を、6つのポイントにまとめて分かりやすく解説してみたいと思います。
マニアックな内容の記事となりますが、どうぞ最後までお付き合いください。
動画でも解説しました。
【コーヒー生豆の選び方】プロが豆選びの基礎を簡単に解説
コーヒー生豆を選ぶときの選定基準ポイントですが、主に6つのポイントに注目しています。
- 産地
- 精製方法
- 農園
- 品種
- グレード
- 収穫年度
慣れると、これらの情報を自然とチェックするようになるのですが、慣れていない方は6つもポイントを意識することは難しいかと思います。
ですので、はじめのうちは、
- 産地
- 精製方法
この2つを意識すればいいかと思います。これだけで、風味の傾向が大体掴めるからです。
コーヒー生豆 産地の選び方
コーヒー生豆を選ぶとき、まずは産地を見ます。
国を見る前に、ざっくりと地域で特徴を把握しすると良いかもしれません。
- 南米
- 中米
- アジア
- アフリカ
・・・酸が少なく、ナッティな風味
・・・軽く華やかな酸、フローラルな風味
・・・ボディ強め、コクが豊か
・・・フルーティな酸味、風味強め
同じ国の中でも、地域によって特徴が異なったりもします。それら全てを把握するのはプロでも難しいです。
そこで、標高に注目すると良いかと。
標高が高ければ、比較的しっかりした酸があり、個性が強くなる傾向があります。
標高が低ければ、マイルドな風味になり、通常のコーヒー感が強くなる傾向が。
国別のコーヒーの風味については、独断と偏見に満ちた記事ですが、ランキング記事のなかで解説しています。↓
コーヒー生豆 精製方法の見方
コーヒー豆は、コーヒーの実を収穫したのちの精製方法によって、風味に差が出ます。
最初は簡単に、4つの精製方法を把握すると良いでしょう。
ナチュラル
果肉を付けたまま乾燥させる方法です。
豆に果肉の風味が残りやすく、果実味が出ます。ワインのような風味が出やすいことから「ワイニー」とも呼ばれます。
ウォッシュト
果肉を除去し、水でキレイに洗ってから乾燥させる方法です。
クリアで透明感のある風味になる特徴があります。風味も安定し、品質が高くなる傾向があります。
ハニープロセス・パルプドナチュラル
果肉を除去したあと、水洗いせずに乾燥させる方法。
ネバネバしたものが付着したまま乾燥させるので、コーヒーの実の果肉感が豆に残る。
コーヒーの甘みを引き出す特徴がある。
スマトラ式
上記4つの精製方法とは意味が少し異なる。
乾燥の期間が短く、生乾きのまま脱穀される方法。インドネシア・マンデリンの製法として多く採り入れられている。
日本に輸入された時点でも水分含有量が多く、独特の風味の野太さが出る。
その他の精製方法
精製方法も新しい手法が開発されており、どんどん細分化しています。
ハニープロセスも、どのくらい果肉を残すかによって「ホワイトハニー」「イエローハニー」「レッドハニー」に細かく分かれました。
また、近年注目されているのが「嫌気性発酵(アナエロビック・ファーメンテーション)」です。果肉を除去してから密閉した容器の中で発酵させ、発生するガスの圧力で果肉の風味を豆に強く浸透させる方法です。何を言ってるかよく分からないかもしれませんが、私もよく分かってないかもしれません。笑
ハニープロセスよりもクリアでキレイな風味になりますが、しっかりと果実感はある、という感じでしょうか。
コーヒー生豆 その他の選び方
それでは、コーヒー生豆の選び方、上記以外の4つのポイントについて解説します。
最初はここまで見なくてもよいかもしれませんが、頭の片隅に入れておくといいかもしれません。
コーヒー生豆 農園の選び方
現在のコーヒー生豆は、農園まで把握することができるようになっています。
勘違いしないで欲しいのは、農園が分かるからといって、品質が保証されているワケではない、ということです。単一農園産のコーヒーのデメリットは、味が安定しないことです。技術の無い農園は、年度によって風味のバラ付きがあります。そして、このような農園は多いです。なので、農園情報は参考までに把握すれば良いかと思います。
日本の商社が主導して作っている銘柄のなかには、現地で良い原料を調達してブレンドし、毎年一定の品質になることが保証されているものがあります。このような豆は、単一農園ものではありませんが、品質が良くて価格が安い傾向があります。
しかし、情熱あるオーナーが運営する農園は、確かに高い品質を誇ることが多いです。色々な豆を試すウチにお気に入りの農園を見つけることは、ひとつの醍醐味になるでしょう。
コーヒー生豆 品種の選び方
コーヒー豆の品種は大きく分けて2つ。
- アラビカ種
- カネフォラ(ロブスタ)種
です。
アラビカ種は風味が良く、病気に弱い。カネフォラ種は苦味が強く、病気に強い、という特徴があります。
このうち、レギュラーコーヒーとして使用される豆のほとんどはアラビカ種のコーヒーです。このアラビカ種で突然変異種や品種改良された種がたくさんあり、それが味わいの違いを生み出す一因となっています。
一般的に、原種に近いとされる種の方が、風味が豊かだと言われています。しかしこれは少々、乱暴な言い方な気もします。
また、病気対策の為に、カネフォラ種を交配させたアラビカ種がありますが、そのような種は、明確に風味が少し劣る傾向があります。
品種について詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。
コーヒー生豆 グレードの選び方
コーヒー豆のグレードですが、各国によって基準や表現の仕方が異なります。これを覚えるのは、結構しんどいものがあります。
しかも、コーヒーの風味の良さはグレードとは関係ないことがほとんど。それなのに、グレードが高いと値段も当然高くなります。
G2の豆なのに、G1の豆より美味しいことなんて、よくあります。(同じ農園の同じ豆なら、当然グレードが高い方が良いですが)その為、あまりグレードについては、気にしないで良いのではないかと考えています。
ただ、グレードって分かりやすい基準なので、みなさんそこをチェックするんですよね。
コーヒー生豆 収穫年度の選び方
コーヒー生豆の収穫年度まで公開しているお店はあまりありません。
通常は、新しい豆の方が風味が豊かです。古くなると、少し風味が枯れてきて、藁のような味がすることがあります。商社は定温倉庫で生豆を保管していますので、2年くらいは良い風味は保たれます。売られている生豆も、大体、収穫から1〜3年以内のものが多いです。その為、収穫年度はあまり気にしなくても大丈夫です。
たまにある地雷のような古い売れ残りの豆には注意しましょう。
ちなみに、収穫年度によって、コーヒーの生豆は呼び方が変わります。
- ニュークロップ
- カレントクロップ
- パストクロップ
- オールドクロップ
今年度に収穫された新しいコーヒー豆。年度の終盤には次年度産のものを指すことになります。
今年度に生産されたコーヒー豆。ニュークロップより少し時間が経過したものを指します。
コーヒー豆の収穫時期は長く、また年に2回収穫される地域もある為、ニュークロップ・カレントクロップが使い分けられます。
前年度に収穫されたコーヒー豆。ここまでは普通に流通しています。
前年度以前収穫されたコーヒー豆。まれに普通に売ってくる商社もいるので注意。
【コーヒー生豆の選び方】プロが豆選びの基礎を簡単に解説 まとめ
コーヒー生豆の選び方のチェックするべきポイントを色々と解説してきました。
最初は【産地】と【精製方法】を見るだけでもOKかと思います。
最近では、同じ農園・同じ品種でも、ウォッシュト・ナチュラル・ハニーと精製方法別で、3種類発売されていることもあります。実際に飲み比べてみると、風味の違いがくっきりと出るので面白いです。
本格的に商売をする方は、サンプルを商社から取り寄せることができるでしょう。購入前に、実際に生豆に触れることができるんですね。最後に少しだけ、そのときに見るべきポイントを解説します。
- 重さ
- 香り
- 粒の大きさ・統一感
実がギュっと詰まっている豆は重さがあります。そのような豆は風味が強いことが多く、狙い目です。かさ密度、と言いますが、これをチェックしてみてください。(水分含有量が多くて重い場合もあるので注意)
生豆の段階で香りが豊かなコーヒーは、品質が高い傾向があります。ただし、軽い豆に多い傾向ですが、焙煎するとその風味が見事に消えてしまう場合もあります。
粒が大きい方が一般的には品質が高い、とされます。しかしそれより重要なのは、粒の大きさが揃っているか、だと考えています。
揃っている方が、焙煎してときにムラになりにくく、結果としてクリアな風味が実現できます。
つまり、
粒の大きさが揃っていて
実が詰まっていて重くて
香りが豊か。
このような豆は、狙い目です。
今回の記事は以上です。
コーヒー生豆選びに、参考になれば幸いです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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