他のエチオピアのコーヒーも知りたい!
エチオピアってコーヒー発祥の地って本当?
【コーヒー豆】エチオピア全地域の種類・特徴を、プロ焙煎士が完全解説します
コーヒー豆のなかで、エチオピアはもっとも注目を集める国。
世界中で人気のイルガチェフェ、近年注目のゲシャ種も擁し、古くからモカの名前を冠するコーヒー原産の国でもあります。
特徴はなんといっても様々な果物に例えられる、バリエーション豊富な風味。
しかもキャラクターが強い豆が多いです。
エチオピアはいくつかの代表的な生産地があり、それぞれにはっきりとした特徴があります。
その全ての地域のコーヒーをピックアップし、その種類や特徴を解説します。
コーヒー豆の原産国はエチオピア
コーヒー豆の原産国はエチオピアと言われています。
コーヒーの発祥の地、エチオピア
羊飼いのカルディが、とある赤い実を食べて興奮している羊を見たことが、コーヒーのルーツとされています。
あくまで伝説ですが、エチオピアがコーヒーの原産国というのは通説になっています。
エチオピアにとってのコーヒー豆
今ではコーヒーは同国にとって一大産業で、人口の5分の1がコーヒー栽培関連業務に携わっています。
輸出品目としても最大ですが、国内消費もさかんで、エチオピアの人は朝〜晩までコーヒーを飲む習慣があります。
エチオピアのコーヒーセレモニー(ブンナセレモニー)
エチオピアには客人に振る舞う儀礼として、コーヒーセレモニーというものがあります。
現地語ではブンナ(コーヒーという意味)セレモニーと呼ばれています。
簡単に書くと、
- お香を炊いて空間を整えるところから始まり
- 生豆を焙煎し
- 抽出して
- 3杯、出席者に振る舞う
と、いうようなセレモニーです。
日本の茶道との類似性を指摘する声も以前からあります。
その類似性を銀座カフェドランブルの関口氏がコラムのなかで書いていました。
- アラビアではサルタンの屋敷で一番条件のいい神聖な場所に、コーヒーでお客を接待する別棟の立派な建物がある。 <茶室>
- 主人は、お客の来る前に部屋の中を清め今日のお客に出すコーヒーを厳密に選別して火を起こして待つ。 <炭点前>
- 建物の部屋の入口は狭く、低く、お客は跪いて中に入る。 <躙口>
- お客が席につくには序列があり、主客から順に席につく。最後に座るものも重要人物。 <お詰>
- 客に提供する食物にはナツメヤシの実が使われ、順に取りながら配られる。 <お菓子>
- 主人が淹てたコーヒーは、最低三順廻るのが礼儀になっている。
日本にコーヒーが入ってきたタイミングは定かではありませんが、茶道を確立した千利休が生きてきた当時、南蛮との交易が盛んでした。
しかも彼は、交易の中心であった泉州堺の会合衆の一人。
コーヒーとともにエチオピアの儀式が伝わってきていたとしても、何の不思議もありません。
かも、しれませんねw
エチオピアのコーヒー豆 産地の種類・特徴
エチオピアコーヒーの代表的な産地は6つあります。
シダモ(標高1,400〜2,200m)
エチオピア南部。最高品質のコーヒーを生産する一大生産地。
シダマという民族にちなんで名付けられた地名。
イルガチェフェを含む地域だが、一般的にイルガチェフェは別枠扱い。
近年はシダモのなかでも特にグジ地区が注目されている。
イルガチェフェ以上のポテンシャルを持つ豆が生産され、この国の主役級の扱いに。
柑橘系やベリー系のフルーティな風味が特徴。
イルガチェフェ(標高1,750〜2,200m)
世界的にブランド化した地域。シダモ地方のなかのひとつの地区(郡にあたる)。
農園ではなく、ウォッシングステーションまでしかトレーサビリティで辿れないが、その風味・個性は強烈。
柑橘類、ピーチ、リンゴ、アプリコット、アールグレイ、ベリー、ナッツなど、イルガチェフェの中でも、風味の違いは幅が広く、品質もピンキリ。
リム(標高1,400〜2,200m)
エチオピア西部。シダモ地方に比べると風味にパンチが無いが、高標高で生産されたものの中には、良い風味を持つものもある。
カカオやチョコレート系のフレーバー。
ジマ(標高1,400〜2,000m)
エチオピア南西部。生産量が多いが、他の地域に比べると注目はされていない。
品質が高くコスパも良いが、風味の面白さに欠ける。
レケンプティ(標高1,500〜2,100m)
エチオピア西部ウォレガ地方。独特の華やかな酸味を持つこちらの地方の豆は、「レケ」と呼ばれて古くからマタリと並んで親しまれてきた。
野生に近い状態で生産され、豆の品質にバラツキがある。
ハラール(標高1,500〜2,100m)
エチオピア東部、ハラリ州の州都。世界遺産都市「ハラール・ジュゴル」がある。
近郊のハラール高原で生産され、高い標高と火山灰土壌、豊富な日射量によって高品質なコーヒーの生産を可能にしている。
コーヒーはモカハラーと呼ばれ、長い形状のロングベリーで昔からエチオピアでは最高品質の豆とされてきた。
なかでも、大粒の豆のみを選別したボールドグレインが最高級グレード。
エチオピアコーヒーのトレーサビリティ
エチオピアは小規模農家が多く、その多くが共同組合までしか辿ることができません。
農園ものは珍しいです。
ですので、多くのコーヒーが「地域名+組合名+グレード」で表されます。
例・・・イルガチェフェ(地域) コンガ(組合) G1(グレード)
このような感じです。
エチオピアのコーヒーの種類・品種
エチオピアコーヒーは生産方法によって大きく3つの種類に別れます。コーヒーの品種は、コーヒーの原産国だけに多様性に富んでいます。
エチオピアコーヒーの種類、栽培方法
エチオピアコーヒーの種類は栽培方法によって、ざっくりと3つに分けられます。
・プランテーション
大規模農場で生産されるコーヒー。しっかりとした農業技術が導入され用いられている。
国営の農場もある。
・ガーデン
小規模農家。居住地周辺でコーヒーを栽培。
肥料は使用するが、木陰の利用などは無く技術はつたない。
この国の主な生産方法。
・フォレスト
エチオピア西部の方法。
自生したコーヒーの木から収穫。
自然のままに栽培され、生産性は低く品質が安定しない。
しかし、中には驚くべきポテンシャルのものも。
コーヒー豆のグレード
エチオピアのコーヒー豆はG1〜G8まで等級があり、日本へはG1〜G4まで入ってきています。
欠点豆の混入率によって決まり、最高グレードのG1は豆300gなかで欠点豆が0〜3個です。
風味(カッピング点数)や標高によるものではない為、G2でも美味しいものがあるし、G1でも風味に乏しいものもあります。
エチオピア コーヒーの品種
エチオピアは3,500種とも言われる在来品種が中心で、ほとんどのコーヒーに複数の品種が混ざっています。
この為、エチオピアコーヒーの品種は「在来種」「エチオピア固有種」と表記されることが多いです。
最近、エチオピア西部ベンチマジ地区の品種が、遺伝子調査によってパナマのゲイシャ種の起源と特定されました。
「ゴリゲシャ」という品種で生産され、ゲイシャのような突き抜けたフルーティさで注目されています。
コーヒー豆の焙煎 エチオピアに合うレベル
エチオピアのコーヒー豆は、近年は浅煎り〜中煎りで飲まれることが多くなっています。
強い果実味と華やかな香りを活かす為です。
一方で、古くから親しまれてきたように、深煎りでも美味しいです。
標高の高い地域で栽培されているためか、実がよく締まっており深煎りにしても、風味が保たれます。
浅煎り〜深煎りまで美味しく飲めるコーヒー豆は、なかなかありません。
焙煎のレベルによって、様々な個性と味を見せてくれるエチオピア。
非常に魅力的なコーヒー豆と言えます。
エチオピア産コーヒー豆のおすすめ5選
人気のエチオピアですが、そのなかでも特におすすめのコーヒー豆を5つ、ご紹介します。
イルガチェフェ コンガ農協 (ナチュラル/ウォッシュト)
イルガチェフェ最高峰のクオリティ。
ベリーやピーチを思わせる強烈な果実味。
中煎りまで焙煎を深くすると、ワイニーな印象に。
イルガチェフェ コチャレ農協(ナチュラル/ウォッシュト)
コンガと並び、イルガチェフェの最高峰。
ここ2年はコンガを上回るクオリティを出しています。
特に、ナチュラルがおすすめ。
グジ Tade GG農園 (ナチュラル/ハニー)
グジ地区。農学者のオーナーによって超高品質なコーヒー豆が安定的に生産されています。
イルガチェフェを凌ぐクオリティと個性の強い風味。
ナチュラル製法はベリー系、ハニー製法はピーチのような風味。
浅煎り〜深煎りまで対応できる、希有な豆。こ
ちらの農園のG1グレードは日本でしか飲めません。
ゲシャ ヴィレッジ農園 (ナチュラル)
ゲイシャ種の元祖。長く残るアフターテイストはゲイシャそのもの。
ゲイシャよりはコスパが良いが、風味は少し控えめ。
モカハラー ボールドグレイン
ハラーの最上級グレードの豆。
酸味は少なく、風味は華やかではないが、落ち着いたコーヒー感を感じることができる。
とても飲みやすいコーヒー。
近年注目の産地、グジ地区
グジはシダモ地域の一部で、元々はイルガチェフェのなかに含まれていました。
しかし近年はそのクオリティが注目され、イルガチェフェとは区分けされるようになってきております。
特徴は、イルガチェフェを上回る、濃厚な果実味と、強いモカフレーバーの香り。
通常のイルガチェフェの産地よりも、高い標高で生産されているため、この強い個性が出来上がるのだと思います。
知名度とブランド力ではイルガチェフェに負けているので、以前は価格も安めでした。
ただし、ここ最近では急速に値上がりしている印象があります。
まとめ 【コーヒー豆】全エチオピアの種類・特徴
エチオピアのコーヒー豆の種類は、フルーティ〜ナッティな豆まで実に様々。
長い歴史にも彩られ、スペシャルティコーヒーの中心的な役割を担っている魅力ある国です。
現在、コーヒー専門店で手に入る主なエチオピアコーヒーの特徴をまとめると、
ハラール・・・ナッツや枯れ草っぽい風味
リマ・・・カカオ系、コクの強い風味
イルガチェフェ・・・柑橘系、ベリー系、ナッツ系、色々
シダモ(グジ)・・・柑橘系、ベリー系、ピーチ系
イルガチェフェに限らず、色々あり過ぎて品質もピンキリ。
当たりハズレの幅が大きいのがエチオピアの特色です。
今回はこんな感じです。
ありがとうございました!
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