こんにちは、アフロです。
コーヒーの全自動焙煎機と言えば、日本には2大メーカーがあります。
トルネードキングのアイ・シー電子工業。
NOVOのダイイチデンシ。
11月に発売開始予定の新型の焙煎機について、色々と聞いてみました。
トルネードキング、トルネードエースとは?
トルネードキングは、全自動電気式焙煎機にカテゴライズされる焙煎機。
強力な熱風で一気に焙煎する為、短時間(4分〜7分程度)で焼き上がります。
焙煎は全自動。
生豆の投入だけは手動で行いますが、プログラムが組んであり焙煎は自動。
各焙煎レベルの焼き分けはもちろん、冷却まで勝手に終わらせてくれます。
短時間焙煎できるので、お客様からの注文が入ってからの焙煎に対応可能。
多くのコーヒーショップが導入していまして、東京ではやなか珈琲が有名です。
小型化など色々と改良が行われました。
そもそも、全自動電気式焙煎機とは?
電子制御の技術を持つ企業が参入し、その技術を活かして全自動焙煎機を作りました。
豆の量や焙煎レベルに応じたプログラムがプリセットされていて、焙煎〜冷却まで自動で行ってくれます。
日本ではトルネードキングとNOVOが有名です。
最近では焙煎機大手のフジローヤルも参入、Cube eという機種が出ています。
また、ストロングホールドといった海外製も出てきています。
全自動電気式焙煎機の欠点
まずは、価格。
通常のガスの焙煎機と比べると高額です。
1kg釜タイプのもので350〜450万円、プラス設置費といった価格感です。
また、風味の特徴もガス焙煎機とは異なり、それを欠点として捉える人もいます。
これは、焙煎時に生豆を攪拌するのに強い風力を必要とするので、それが影響しているかと思います。
通常の焙煎機より強い風を豆に浴びせるので、一気に水分が抜けて、焙煎が短時間で終わります。
これが、電気式焙煎機ならではの風味の原因となります。
電気式焙煎機で焙煎された豆はまずい?
それでは、電気式焙煎機で焙煎されたコーヒー豆はまずいかというと、そうではありません。
あくまで電気式焙煎機の風味の特徴があるという話で、長所にもなりえます。
良い面として、ガス火のような煙臭さがなく、焙煎直後からクリアな風味が楽しめます。
また、短時間焙煎の為にボディが強く出がちな面もあります。
「この味が良い」というお客様も多く、実際に電気式焙煎機を使用しているお店には人気店が数多いです。
さらに言えば、焙煎のプログラムは自分で細かく調節することもできますので、風味の特徴を自在に変えることが可能。
ですので、ガス焙煎機のような味わいに寄せることもできます。
全自動電気式焙煎機の未来
今まで、どちらかというと全自動電気式焙煎機は軽視されがちでした。
ガス火の焙煎機が本格派。
一方で全自動電気式焙煎機は、どちらかというと邪道。
そんなイメージもあったような気がします。
ただし、これも覆りつつあります。
最近では、コーヒーの競技の世界大会で、全自動電気式焙煎機で焙煎された豆が使われるようになりました。
クリアな風味とフレーバーがはっきりと出せることが評価された為です。
全自動電気式焙煎機には、
- 火力・風力・時間の微調整が簡単
- 同じ焙煎を簡単に再現できる
- つまり、焙煎の試行錯誤が簡単で、より最善の焙煎を追求しやすい
という特徴があります。
この優位性は、今後ますます注目されると思います。
日本では以前よりメジャーなタイプの焙煎機でしたが、最近ではアメリカでも注目されるようになりました。
2023冬、新機種トルネードエースが登場。
トルネードキングを一回り小さくし、さらにデザインが入ってスタイリッシュに。
ライバル機種と比べたときに大きく見劣りしていた部分である、「見た目」が大きく改善されました。
改良されたのはサイズやデザインだけではありません。
電源も、業務用電力が不要になりました。(単相200V)
また、チャフの廃棄などのちょっとした作業が、全て前面で行えるようになり、作業性も向上。
小型になったことで一度の最大焙煎量は400gと少なくなりました。(トルネードキングは1kg)
しかし、最小50gから焙煎ができるので、サンプルローストや高価格帯の豆の販売も可能になります。
色々な部分に改良が加えられた結果、競争力でアタマひとつ抜け出した、非常に優秀なマシンとなりました。
トルネードキングの導入実績
トルネードキング自体は歴史のあるマシンで、多くの導入実績があります。
東京では、なんといってもやなか珈琲店。
現在30店舗以上展開している一大コーヒー自家焙煎チェーンです。
その成功には、このトルネードキングの力も大きかったと思います。
歴史がある分、何回も改良がなされてきており、信頼性がある完成度の高いマシンになっています。
ライベル機種と比べると、デザイン性では劣りますが火力や焙煎の調整力に優れます。
ですので、この機種を選ぶオーナーさんは、やや焙煎に対してのこだわり強いタイプの方が多いかもしれません。
これって、すごいことですよね。
トルネードキング、トルネードエースの焙煎機の価格は?
トルネードキングの価格はライバル機種とあまり変わりませんが、トルネードエースはかなり安くなりました。
色々改良されたうえに価格が安くなり、他機種と比べたときの競争力は、アタマひとつ分上をいくマシンかと思います。
また、トルネードエースは通常の電力(単相200V)です。
業務用電力が必要ありませんので、その工事が不要ということも、費用の面では大きいです。
メーカーのアイ・シー電子工業にお邪魔してみました。
前置きがだいぶ長くなりましたが、アイ・シー電子工業さんに訪問。
私の実家が同じ群馬なので、帰省した際に寄らせていただきました。
トルネードエースで実際に焙煎してみた。
こちらが、新型のトルネードエース。
小型の冷蔵庫や洗濯機くらいの大きさです。
体積にすると従来機の3分の1とのこと。
カラーはベージュ・シルバー・ワインレッドの3色で、ベージュ以外はオプション色となります。
非常に可愛らしい見た目になりました。
※画像に写っているマシン下部がむき出しになってますが、実際にはカバーがあります。
生豆投入。
豆を投入後は、パネルにて焙煎プログラムを選択。
投入量と焼き上がりの焙煎レベルを指定し、スタートするだけ。
入店初日のアルバイトでも焙煎できる簡単さ。
焙煎プログラムは調整できる。
焙煎プログラムはプリセットで設定された状態で納品されます。
焙煎時間が短いパターン、長いパターンなど、豊富に設定されているので、自分でプログラムを組む必要すらありません。
ただし、電源を入れて最初に出てくる画面のMT(メンテナンスモード)を押すと、トルネードキングと同様のマニュアルモードに入ることができます。
マニュアルモードでは焙煎設定温度を任意に変更でき、焙煎度合いを調整することができます。
焙煎の奥深さを追求したい人にとっても、満足できるマシンになっています。
焼き上がり・冷却
焼き上がりまでは5〜6分程度。
自動で豆が排出され、自動で冷却されます。
実は、この冷却もポイント。
ほぼ全ての焙煎機が、冷却の風が「吸い込み式」です。
しかし、トルネードエースの冷却の風は、「吹上式」。
吹き上げにしたことで、豆が踊り、より早く冷却されます。
結果、より風味がクリアに。
さらに良いことに、焙煎後の煙がブロワーに吸い込まれなくなったことで、掃除やメンテの回数が減りました。
トルネードエースのメンテナンス
- チャフを取り除くこと
- 釜の中や排出口の冷却ザルの清掃
くらいです。
楽です。
しかも、全て前面で作業できるように改良されました。
ちょっとしたことですが、日々の作業が楽になるので、大切なポイントです。
トータルの焙煎時間が、ある一定時間を超えた場合には、メーカーにオーバーホールを依頼します。
サービスマンがお店を訪問し、ブロワーの中など細かい部分まで綺麗にしてくれます。
オーバーホールがどのくらいの頻度になるかは、目安をまだ決めていないとのことでした。
お店の忙しさによっても大きく変わってきます。
ただ、中が汚れ難いマシンの為、他の競合マシンと比べて頻度は低そうです。
ライバル機種との比較
ライバル機種、NOVOとストロングホールドとの比較をしてみます。
私はストロングホールドを使ったことがありませんので、あくまでスペックを見たうえでの感想となります。
しっかりとエビデンスのある比較ではなく、主観も混じりつつの考察となりますので、ご了承ください。
見た目はNOVO
これはNOVOがやはり優れています。
お客様に与えるインパクトが絶大。
これって、集客効果がありますので、何にも変え難い長所なんですよね。
ただし、トルネードエースもかわいくなり、見た目がよくなりました。
何より、サイズが小さいことがいい。
小さな店舗でも設置しやすいです。
焙煎の調整力はトルネードエース
これは火力や風力などをどこまで調整できて、どこまで実際に効力があるか、で比較します。
電気が熱源の焙煎機は、微調整のやりやすさが長所です。
それぞれの機種は、細かく時間と熱量と風量を、調節できます。
そこで、コーヒー豆に実際に熱を加える要素を細かくみていくと、
- トルネードエースは、熱風+鉄板による輻射熱
- NOVOは、熱風
- ストロングホールドに関しては熱源が2つあり、熱風+ハロゲン
以上のことを考えると、
浅煎りの調整力ではNOVOとストロングホールドが優れ、
浅煎り〜深煎りまでのトータルの調整力はトルネードエースなのではないでしょうか?
NOVOは焼き方にもよりますが、焙煎量が多い時の深煎りの調整力が、やや弱点なのかな、と思います。
焙煎量は、大体同じ
一度に焙煎できる生豆量は、
NOVOが1kg。
ストロングホールドが650g。
トルネードエースが400g。
ちなみに、トルネードキングの方は1kgです。
本体価格を考えると、どの機種もコスパは同じくらいかな、と思います。
信頼性・メンテナンス性はトルネードエース
日々のメンテナンスの手間は、それぞれあまり変わらないかと思います。
ただし、年に1〜数回のサービスマンを読んでのオーバーホール。
NOVOは、トータルの焙煎時間が400時間毎くらいの頻度。
トルネードエースは、この頻度が数分の1で抑えられます。
ストロングホールドは韓国製のため、オーバーホールはないかもしれません。
なので、信頼性とメンテナンス性の両方を考えると、トルネードエースがひとつ抜けています。
まとめると・・・
価格を比較すると、トルネードエースがもちろん安いのですが、1度に焼ける容量も少ないです。
なので、一概に比較はできません。
価格面以外で比較したときには、
- 集客面に関してはNOVO
- 味作りに関してはトルネードエース(キング)
- 信頼性やメンテに関してもトルネードエース(キング)
ということになるかと思います。
トルネードエース導入がフィットするのは、どのようなコーヒー店?
それでは、どのようなタイプのコーヒー店であれば、このトルネードエースを導入するべきなのか、簡単に考察します。
まずは、①お客様からの注文毎に個別に焙煎する、「オンデマンドロースティング」の豆売り店ですね。
非常に強力なインパクトがありますので、お客様に対して強い訴求力を発揮します。
あとは、②ハンドドリップやラテアートなどにも取り組みたいお店。
自動焙煎なので、焙煎に手間がかかりません。
その分、他のことに時間を使うことができますので、お店によっては
・ハンドドリップ
・ラテアート
などにも取り組むことが、比較的やりやすいと思います。
また、③アルバイトに店の運営を任せたいお店。
焙煎の修行不要ですので、焙煎研修の手間が省けます。
チェーン展開したい方にとっても、心強いマシンとなります。
そうはいっても、一度に焙煎できる量が生豆で400gということが心配になる方も多いと思います。
しかし、小さなショップであれば心配無用。
焙煎時間自体は短いので、1時間あたりの焼き上がり量は2kgは超えられます。
8時間ぶっ通しで焼くとしたら、16kg以上の生産量。
これって実は、1日の売上が10万円程度のお店までカバーできる能力を持っている、ということなんです。
(バッチ数が多いので相当忙しくなりますがw)
なので、ワンオペで回すような小さいお店でしたら、これ1台で十分過ぎますね。
今回の記事は以上です。
トルネードエース、気になる方はメーカーにお問い合わせくださいませ。
2023年冬に発売開始予定だそうです。
公式でトルネードエースの紹介動画がアップされています。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。