しかし、300万円という予算でも、戦略的に計画を立てることで夢のカフェを実現し、成功させることは十分に可能です。
ここでは、その具体的なプランと成功への道筋を徹底解説します。
予算300万円の詳細内訳と資金調達
300万円という予算を最大限に活用するためには、資金の内訳と調達方法が非常に重要になります。
若い方でしたら、全てを自己資金で賄うことは難しいかもしれません。
自己資金150万円 + 融資150万円の調達方法
300万円の予算を組む上で、自己資金と融資の組み合わせは現実的な選択肢です。
自己資金150万円の準備:
カフェ開業への本気度を示すためにも、自己資金は多いに越したことはありません。
融資を申請するとなると、コツコツを自分で貯金してきたたどうか、審査で見られます。
融資150万円の調達:
主に以下の選択肢が考えられます。
- 日本政策金融公庫・・・
- 信用保証協会付き融資・・・
- 地方自治体の創業支援融資・・・
個人事業主向けの融資制度が充実しており、比較的低金利で利用できる可能性があります。
開業資金の融資実績も豊富で、創業計画書の作成サポートなども行っています。
主に地域の信用金庫から受ける融資です。
民間の金融機関からの融資に信用保証協会が保証をつける制度で、これにより、金融機関は貸しやすくなり、融資を受けやすくなります。
各地方自治体でも、独自の創業支援融資制度を設けている場合があります。
お住まいの地域の制度を確認してみましょう。

融資を受ける際のポイント
- 事業計画書をしっかりと作成
- 自己資金をより多く
- 経験・実績
なぜカフェを開業したいのか、どのようなコンセプトで、どのように収益を上げるのかなど、具体的な計画を詳細にまとめることが重要です。
自治体などが行っている、事業計画書の作成サポートを受けるとより良いでしょう。
自己資金が多いほど、融資の審査に有利に働きます。
家族や友人から借りたお金は自己資金とはみなされないので注意が必要です。
自分でコツコツと貯めるか、副業などで稼ぎましょう。
カフェや飲食業界での経験があると、事業の実現可能性が高いと判断され、融資に有利となります。
または、開業に関連する商材で副業を行って収入を作り、確定申告までしておくと、実績とみなされる可能性があります。

300万円での設備・内装・運転資金の最適配分
限られた300万円をどのように配分するかが、成功の鍵を握ります。
- 物件取得費・・・50〜100万円
- 内装工事費・・・50万円〜100万円
- 厨房設備費・・・〜50万円万円
- 什器・備品費・初期の仕入れ・・・30万円〜50万円
- 運転資金・・・〜50万円
- その他諸経費・・・20万円〜30万円
敷金、礼金、仲介手数料など。
居抜き物件や保証金が低い物件を選ぶことで大幅に抑えることが可能。
壁紙、床、照明、カウンター設置など。
DIYや中古品活用、シンプルなデザインにすることで費用を抑える。
コンセプトに合わせた必要最低限に絞り、最初から完成を目指さない。
冷蔵庫、オーブン、シンクなど。
ヤフオクなどで中古品を活用し、必要最低限の機能に絞る。
高価なマシンはリースも検討。
必要最低限の調理器具に絞る。
テーブル、椅子、食器、レジスター、POSシステムなど。
レジは初期費用無料のエアレジなどを活用。
リサイクルショップやフリマアプリなども活用し、コストを抑える。
開業後の家賃、人件費(当面の間)、仕入れ費用、光熱費、消耗品費など。
2ヶ月分の運転資金を確保することが望ましい。
人件費を抑えるために、当面はワンオペで。
広告宣伝費、許認可申請費用、消耗品費、予備費など。
SNSを活用した無料の宣伝や、地域イベントへの参加などで広告費を抑える。
合計・・・約300万円


初年度売上目標と達成方法
300万円で開業した場合の初年度売上目標は、現実的に月商100万円を目指すのが妥当でしょう。
ただしこれは、店舗の規模や提供するメニューによって大きく変動します。
達成方法のポイントは、提供する商品やサービスがお客様から認知されやすいか?です。
ここに最初は注力します。
・ターゲット
・情報発信
・メニュー
・内装
・パッケージ
全てに統一感を持たせて、分かりやすいお店を心がけましょう。
ターゲット層の明確化:
誰に、どのような価値を提供したいのかを明確にし、それに合わせたメニューやサービスを提供します。
ここがブレると、お店の統一感がなくなって、誰にも訴えないお店になってしまいます。
内装やパッケージの統一感
お店の外観やメニュー表など、お客様からまず目につく部分は、
「シンプルに、分かりやすく」
これが、最初は大切です。
認知されるまでには、多くのエネルギーと時間がかかります。
SNSでの積極的な情報発信:
InstagramやTiktokなどを活用し、カフェの雰囲気やメニュー、日々の出来事などを積極的に発信し、ファンを獲得します。
特に近年はショート動画が効果的と言われています。
限定メニューやイベントの実施:
季節限定のドリンクやフード、ワークショップなどを企画し、お客様の来店を促します。
地域との連携:
地域のお祭りやイベントに積極的に参加したり、地域に根差したカフェを目指します。
認知度向上やファン作りに繋がります。
リピーターの獲得:
美味しいコーヒーや食事はもちろん、心地よい接客や雰囲気づくりで、お客様に「また来たい」と思ってもらえる工夫を凝らします。
商売はやってみないと分からないもの。
やってみて、リピーターが獲得できる水準を達成できれば、成功に大きく近づきます。
300万円でカフェ開業を成功させた3つの実例
実際に300万円という限られた予算でカフェを開業し、成功を収めた3つの事例をご紹介します。
それぞれ異なるアプローチで課題を克服し、収益化を実現しています。
事例1:「コーヒー工房M」- 居抜き物件活用型
立地: 埼玉県の住宅街
開業資金: 自己資金180万円 + 日本政策金融公庫融資120万円
成功のポイント:
元喫茶店の居抜き物件を月額8万円で借り受け、内装費を大幅に削減。
オーナーさんは前職で問屋に勤務していた経験を活かし、直接仕入れルートを確保することで原価率を抑制しました。
予算配分の内訳:
物件取得費:24万円(敷金・礼金・初月家賃)
内装改修費:40万円(看板・照明・壁紙のみ)
設備費:80万円(エスプレッソマシン中古・冷蔵庫・什器)
運転資金:120万円(6ヶ月分)
その他:36万円(許認可・備品・広告費)
現在の状況:
開業から8ヶ月で月商95万円を達成。
地域住民のリピーター率は70%を超え、朝の通勤時間帯とランチタイムが主力となっています。
事例2:「カフェ&ワークスペース O」- コワーキング併設型
立地: 千葉県
開業資金: 自己資金120万円 + 信用保証協会付き融資180万円
成功のポイント:
元自動車整備工場の一角を改装し、カフェとコワーキングスペースを併設。
リモートワーカー向けのコワーキングスペースとして活用する複合型ビジネスモデルを採用しました。
予算配分の内訳:
物件取得費:60万円(保証金・改装許可費用含む)
内装工事費:90万円(DIY中心・パーテーション設置)
厨房設備費:60万円(業務用冷蔵庫・ガスコンロ・シンク)
什器・IT設備:50万円(テーブル・椅子・Wi-Fi環境整備)
運転資金:40万円(3ヶ月分)
現在の状況:
開業6ヶ月目で月商110万円を達成。
カフェ売上70万円、コワーキング40万円の複合収益構造で安定経営を実現しています。
事例3:「観光地のコーヒーショップ M」- 地域密着・最小開業型
立地: 長野県軽井沢町の別荘地エリア
開業資金: 自己資金300万円(親族からの借入含む)
成功のポイント:
築40年の古民家を月額5万円で借り受け、最小限の改装でナチュラル系カフェとして開業。
地元農家との直接契約で新鮮な食材を調達し、手作りスイーツとスペシャルティコーヒーで差別化を図りました。
予算配分の内訳:
物件取得費:30万円(敷金・清掃費・小修繕)
内装工事費:70万円(床材・断熱・看板設置)
厨房設備費:45万円(オーブン・冷蔵庫・手動エスプレッソマシン)
什器・備品:35万円(アンティーク家具・食器類)
運転資金:90万円(12ヶ月分の固定費)
その他:30万円(許認可・初期在庫・販促物)
現在の状況:
開業1年で月商85万円を安定維持。
観光シーズンには月商120万円を超え、地元リピーターと観光客の両方から支持を得ています。
Instagramのフォロワーは3,000人を突破し、口コミでの集客が主力となっています。
3事例から学ぶ成功の共通点
これら3つの事例から見えてくる成功の共通点は以下の通りです。
コンセプトの明確化:
どの店舗も「誰に何を提供するか」が明確で、ターゲット層に響く価値提案ができています。
固定費の徹底削減:
家賃や人件費などの固定費を可能な限り抑え、売上変動に対する耐性を高めています。
地域とのつながり:
単なる飲食店ではなく、地域コミュニティの一部として機能し、リピーター獲得に成功しています。
段階的な成長戦略:
最初から完璧を目指さず、収益を上げながら徐々に設備やサービスを充実させています。
300万円という限られた予算でも、戦略的なアプローチと地道な努力により、持続可能なカフェ経営は十分に実現可能なのです。
300万円で避けるべき落とし穴
限られた予算だからこそ、避けるべき落とし穴を事前に把握しておくことが重要です。
特に、物件選びと、内装と、厨房設備選びが重要です。
この予算で手を出してはいけない立地・物件
駅前の一等地や商業施設内のテナント:
家賃が高額になり、300万円の予算では到底賄いきれません。
スケルトン物件(内装が全くない状態の物件):
内装工事費が莫大にかかり、予算を大きくオーバーします。
坪数が広い物件:
広い物件は家賃コストが重くなりますし、そもそもワンオペに適しません。
狭い物件で家賃を抑えながら、できるだけ人通りの多い場所に出店することが重要です。
避けるべき内装工事
入り口のドア、床、壁、電気工事などは大きな金額がかかってきます。
前テナントによって、そのようなものが予め設置されている物件が無難です。
また、棚やカウンターなどの造作は、大工さんに頼むと高くつきます。
自作するか、ネット上のセミオーダーで頼むと費用が抑えられます。
避けるべき厨房設備
エスプレッソマシンやコーヒーグラインダーなど、効果な設備を購入するときには、注意が必要です。
その投資によって売上がどれくらい見込め、いつくらいまでに回収できるのか、計算しましょう。
最初から完璧なお店は目指さず、少ない投資によって確実に利益を上げ、その利益を再投資して良いマシンを買っていけば良いのです。


300万円開業での収益化タイムライン
ただし、物件によります。
人通りの多い場所では集客が容易ですので、2ヶ月目から黒字となるパターンは多いです。
しかし、人通りのない場所や2階以上など空中階のテナントの場合、赤字期間が長い傾向があります。
認知度の獲得には時間がかかるからです。
開業~3ヶ月目:
認知度向上と集客に注力する期間。赤字になることも。
開業初期はSNSのゴールデンタイム。
Instagramなどの広告を回し、フォロワーを稼いでブーストかけましょう。
3ヶ月~6ヶ月目:
リピーターが増え始め、売上が安定してくる時期。
リピートされている商品やサービスを見極め、改善に注力する。
この時期には確実に損益分岐点を達成する。
6ヶ月~1年目:
安定した経営基盤を築き、恒常的な黒字化を目指す。
このタイムラインを意識し、精神的にも金銭的にも余裕を持った計画を立てることが重要です。
300万円という予算は決して潤沢ではありませんが、徹底したコスト管理、戦略的な事業計画、そして何よりも情熱とアイデアがあれば、カフェ開業の夢は十分に実現可能です。

かや書房さんより独立・開業への「最初の一歩踏みだすための本」を出版。
»知識ゼロ&副業からはじめる コーヒーで稼いで目指すFIRE生活
お得なメンバーシップもやってます。
»コーヒーショップ開業部