自宅でコーヒー豆の焙煎に挑戦したい方向けの記事です。
この記事は、
- 自宅でコーヒー豆を焙煎する5つの方法
- コーヒー焙煎のやり方・一連の流れ
- コーヒー焙煎のコツ
- 失敗しない為の焙煎の鉄則5箇条
- 焙煎した豆を美味しく飲む方法
以上の内容になっており、読むと自宅で焙煎に挑戦する為の基礎知識を得ることができます。

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自宅でコーヒー豆を焙煎する5つの方法
自宅でコーヒー豆を焙煎する方法は、大きく分けて5つあります。それぞれ特徴がありますので、ざっくりとご紹介します。
1・フライパン焙煎
一番手軽にはじめられ、しかも簡単です。よく攪拌すれば、豆に均一に火が入ってムラも防ぐことができます。鍋でも大丈夫だし、IHでもOK。
デメリットは、
冷却時に他の器に移さなくてないけないこと。
チャフが激しく飛び散ること。

2・手網焙煎器
安価に購入できます。火力が直接豆に届くので、良くも悪くも焙煎に調節しやすい。
デメリットは、
焙煎の安定感に欠けること。
ムラが出来やすいこと。
また、10分程連続で振り続けるので、焙煎時に手が疲れること。←かなり疲れます。女性はきついかもしれません。

3・手回し焙煎器
ガスコンロの上に置き、ハンドルを回すだけなので手が楽です。色々なタイプのものが発売されており、値段は15,000〜40,000円くらいと様々です。モーターが付いていて、自動で回るタイプのものもあります。
デメリットは、
チャフが飛び散ること。

4・電気式焙煎機

ボタンひとつで自動で焙煎できるので楽です。焙煎時間も短く、チャフも飛び散らない。焙煎のやり方をプログラミングできるタイプのものも発売されています。
デメリットは、
豆の個性が発揮しきれないことです。中庸な風味になります。焙煎時間が短い・釜内の圧力が低い・排気が強い、このようなことが原因と考えられます。

5・ガス式焙煎機

ガス式焙煎機一例
・フジローヤル ディスカバリー
・ワイルド珈琲 アポロ焙煎機
通常の業務用焙煎機をダウンサイジングしたもの。電気式では難しい釜内の圧力や排気のコントロールが可能です。豆のポテンシャルをフルに発揮させる焙煎が可能です。
デメリットは、
価格が高いこと。
サイズが大きいこと。
10回ほど焙煎する毎にメンテナンスが必要なこと。
※操作は慣れが必要ですが、簡単です。
以上、大きく分けて5つのコーヒー豆の焙煎方法があります。ただし方法は違えど、焙煎の仕組みや流れは一緒です。
コーヒー豆焙煎の方法・一連の流れ
道具は違えど、コーヒー豆焙煎の基本的な方法は一緒です。
やり方の一連の流れは以下の通り。
- 弱火で水抜き
- 中火で焙煎
- 1ハゼ
- 2ハゼ
- 冷却
まずはしっかりと豆の水分を抜きます。ここは弱火で時間をかけた方が、その後の焙煎でムラが出なくなります。
水抜き後、焙煎器の種類にもよりますが、中火〜強火でしっかりと熱を加えます。
手焙煎でやる場合は、しっかり攪拌してムラを防ぎます。
豆の外側の部分の組織が膨張して、一部壊れて中に発生したガスが出てきます。このときバチバチと豆の爆ぜる音が聞こえます。
これが1ハゼです。
1ハゼが終わってしばらくすると、今度は少し高い音でパチパチと音が聞こえます。
豆の内部の組織が膨張して壊れる音、2ハゼです。
2ハゼから豆の中の香味成分が急激に変化していきます。ここからは秒単位で仕上がる風味が変わります。腕の見せ所ですね。笑
1ハゼ〜2ハゼ終わりの間で、好みの焙煎の深さで煎り止めします。
火を止めても豆の持つ熱で焙煎が進んでしまいますので、すぐにドライヤーなどで冷却します。

コーヒー豆の焙煎方法のコツとは
コーヒー豆の焙煎方法のコツは、
「温度上昇のスピードを一定に」
です。
焙煎の工程で、温度上昇スピードは自然と変化します。
具体的には、1ハゼの後半から温度上昇は早くなります。これは、ハゼによって豆に残っていた水分が無くなること、組織が壊れ熱が内部まで浸透しやくすなること、から起こると考えられます。
温度上昇をコントロールする
手焙煎だと温度計が付いていないので、焙煎中の豆の温度は分かりません。でも、分からなくても大丈夫。
1ハゼ後半から僅かに火力を絞るだけでOKです。
火力が強すぎると、1ハゼと2ハゼの間隔が無くなり、繋がってしまいます。
焙煎の温度上昇スピードが早いと・・・。
- 風味に透明感が無くなります。カップがクリアではない、と表現されます。
- 豆の組織がもろくなり、香りが弱く保存の効かない豆になります。
1ハゼ2ハゼが繋がるということは、「コーヒー豆成分の熱による化学反応」にムラがある証拠です。仕上がる風味は、濁ったものになってしまいます。
早すぎる温度上昇は、豆の組織に必要以上にダメージを与えます。壊れた部分から香りなどの成分が抜けてきます。

コーヒー豆の焙煎レベル
一般的な焙煎の具合いは以下の通りです。
【シナモンロースト】
1ハゼ始まったあたり。
少し生豆の青臭さが残る。強い酸味。苦味はない。ブルマンなどのクセのない透明感がある豆は、このレベルで飲まれることも。
【ミディアムロースト】
1ハゼ終わりあたり。浅煎り。
苦味はなく、酸味が強く出る。最近のサードウェーブでは好まれる焙煎。フルーティな豆の華やかな酸味を活かす場合に。
【ハイロースト】
1ハゼ終わりと2ハゼ始まりの中間。浅めの中煎り。
酸味寄りだが、バランスのとれた風味。フルーティさを活かしつつ、コーヒー感も出したい場合に。
【シティロースト】
2ハゼ始まったあたり。中煎り。
酸味と苦味のバランスをとる焙煎レベル。色々な豆に適用できる守備範囲が広い焙煎。
【フルシティロースト】
2ハゼピーク。深めの中煎り。
酸味が少なくなり、コクと苦味がよりいっそう強調される。固くて強い酸を持つ豆はこのレベル以上で。
【フレンチロースト】
2ハゼ終わりあたり。深煎り。
豆の表面に油が浮いてくる。エスプレッソは一般的にこのレベル。カフェオレにも良く合う。
【イタリアンロースト】
2ハゼ終了したあたり。極深煎り。
豆が黒に近い色になり、全面的に油が浮いてくる。アイスコーヒー向き。または、極端に苦味が好きな方向け。

コーヒー豆焙煎方法【失敗しない為の5箇条】
コーヒー豆の焙煎は、いくつかのポイントを押さえると安定感が増し、失敗しなくなります。初心者は、まずは以下の5つのポイントを意識してみてください。
第一条・水抜きはしっかりと
弱めの火力でゆっくり均一に水を抜いていきます。
豆が黄色く色づいてきたら次に進みます。
第二条・1ハゼの開始時間をチェック
1ハゼ開始された時間を見て、火力が強いか弱いか、焙煎が早いか遅いかを判断します。
この時間は焙煎器・焙煎機によって異なります。水抜き終了後、3分程度が目安です。
第三条・1ハゼピークが過ぎたら火力を落とす
1ハゼ後、ほんの少し火力を落とします。
急激な温度上昇は豆の組織をもろくさせ、風味が弱く保存のきかないコーヒーになってしまいます。
それを防ぐ為です。
第四条・浅煎りの場合は1ハゼ開始直後に火力を落とす
浅煎りの場合、1ハゼ開始直後から火力を落とすと失敗しにくいです。
1ハゼをゆっくりすすめることによって、ムラを防ぎます。
第五条・焼き上がったら急速冷却 ドライヤーとザルを使おう
火をとめたあとも、豆同士の熱で焙煎は進みます。ステンレス製のザルなどに移し、ドライヤーですぐに冷却しましょう。
コーヒー焙煎 こんな手間はいらない
コーヒーの焙煎は、「徹底的にこだわらなければ」という意識の人が昔から多いようです。その為、コスパの悪い無駄な労力をかけ過ぎているのではと思うところがあります。代表的ものを2つ挙げます。
コーヒー生豆のハンドピッキングはいらない
現在のコーヒー豆は品質が上がっており、ハンドピッキングは要りません。ウォッシュトで生産された豆は特に、です。
ほんの僅かにはいっている欠点豆を取り除いたところで、味は変わりません。厳密に言えば変わるのでしょうが、飲み比べても分からない程度です。
そうは言っても、グレードの低い豆などは欠点豆も多く含まれています。その場合も生豆の状態でピッキングはしなくてもOKです。焙煎後に、色が明らかに他と違う豆があります。主に未成熟な豆です。これらを取り除くだけで十分。
焙煎後にピッキングするこのやり方だと、欠点豆が分かりやすく初心者でも簡単です。
ご飯炊くときにお米のピッキングってやらないですよね?コーヒー豆も一緒です。ただ、コーヒーは嗜好品なので、ロマンを求めてしまうのはよく分かります。
コーヒー生豆の水洗いもいらない
焙煎前、コーヒー生豆を水洗いする人もいますが、これもいらないです。「お米と一緒なら洗えよ」ってツッコミが聞こえてくる気がしますが。笑
理由は、やってもやらなくても同じ、だからです。
水に浸したりして豆の水分含有量を調節したりする人もいますが、焙煎に良い影響があるということは無いです。水抜きの時間が少し長くなる程度でしょうか?
美味しさに対する影響も、無いと言ってもいいと思います。あったとしても、焙煎時間が変わったことによる影響です。水洗いしたことによって、美味しくなったり不味くなったり、ということはありえません。
多少、チャフが出るのを抑えられるので、その効果を狙うのはアリだと思います。
焙煎したコーヒー豆を美味しく飲む為には
焙煎したコーヒー豆、せっかくなら美味しく飲みたいです。以下の2点のことに注意してみてください。
焙煎後3〜5日が飲み頃
焙煎直後は風味がスモーキーになると言われてますが、手焙煎の場合はそこまでの影響はないです。焙煎直後からでも、美味しく飲むことはできます。
ただし、香りのピークは焙煎後3〜5日と言われています。ここが飲み頃のピークと言えます。
焙煎後の豆は常温保存
豆は常温で保存すると熟成がすすみ、風味に良い影響があります。まろやかで透明感が増し、より豆の個性が良い形で際立ちます。日々の味の移り変わりを楽しみましょう。熟成による良い変化は20日間ほど続き、その後は酸味が増すなど劣化による悪い影響が出てきます。
自宅でコーヒー豆を焙煎する5つの方法【自宅焙煎の鉄則5箇条】まとめ

何の焙煎器・焙煎機を使用しても変わらない、失敗しないためのコーヒー豆焙煎の方法、鉄則5箇条をまとめます。
失敗しない焙煎の為の鉄則5箇条
第一条・水抜きは長めにしっかりと
第二条・焙煎は、温度上昇スピードを一定に保つイメージで
第三条・1ハゼの開始時間、1ハゼピーク後の火力調節がポイント
第四条・浅煎りは1ハゼをゆっくりすすめる
第五条・焼き上がったら全力で冷却
生豆の洗浄やハンドピックなど、コスパの悪い労力はやらなくても良い。
焙煎後3〜5日目が飲み頃のピーク。
コーヒー焙煎はそもそもシンプルで簡単なもの、気軽にできるものです。美味しい野菜炒めを作る方が難しい。笑
ポイントを押さえるだけで焙煎の難易度はグッと下がります。是非気軽に挑戦してみてください。
今日は以上です。
ありがとうございました。


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